知人であるA子から聞いた、価値観の不一致が生んだ離婚の実話です。母子家庭で苦労しながら、地に足をつけて育ったA子。彼女が結婚したのは、都会育ちで父親が会社経営者という裕福な環境で育ったお坊ちゃん夫でした。育ちの格差による感覚の違いを乗り越えていたつもりだったA子ですが、ある事件をきっかけに、夫のあまりにも冷酷な本性を知ることになります。

「誰が家事するの?」母の病気に寄り添えない夫の本性

そんなある日、地元で一人で暮らすA子の母が体調を崩し、倒れたという連絡が入りました。
母子家庭でA子を必死に育ててくれた、かけがえのない大切な母親です。A子はひどく動転し、夫に「母の看病のために、しばらく実家に帰省したい」と伝えました。
心配してくれるだろう、快く送り出してくれるだろう──そう信じていたA子に対し、夫が放ったのは耳を疑うような言葉でした。
「は? 結婚したのに、俺をほったらかしにして帰るわけ? 誰が家事をするんだよ!」
妻の母親が病気で苦しんでいるという一大事に、夫は心配するどころか、自分の身の回りの世話をしてくれる人間がいなくなることに対して激怒したのです。
「そんなことを言っている場合!?」とA子は激しい怒りを覚え、大喧嘩になりました。しかし、自分のことしか頭にない夫の姿に完全に冷めてしまったA子は、夫の制止を振り切ってそのまま実家へと帰省しました。

温室育ちの自己中男への見切り。A子が選んだ幸せ

実家に帰って母の看病をしている間も、夫からは心配の連絡ではなく、「早く帰ってこい」という身勝手な催促ばかりが届きました。そしてしまいには、「これ以上帰ってこないなら離婚だ!」と、子供のように騒ぎ立てる始末でした。
妻の家族の命や健康よりも、自分の家事や世話を優先する。甘やかされて育ったお坊ちゃんのあまりにも自己中心的な本性に、A子は100年の恋も冷めるような絶望を感じました。
「もういい。こんな人と、これからの人生を共にする意味なんてない」
そう心に決めたA子は、夫の「離婚だ」という脅しをそのまま受け入れ、本当に離婚届を提出しました。
現在は、体調が回復した大切な母親と二人で、地元で穏やかに暮らしています。
どれだけお金持ちで条件が良くても、いざという時に家族を思いやる心がない人とは幸せになれない──。育ちの格差以上に、人間の本質の大切さを痛感した苦い経験だったそうです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藤野ゆうこ
2度の離婚を経て、シングルマザーとして介護職の管理者を務める現役会社員。現場で触れてきた数多くの家族の人生模様や、自身の波乱万丈な実体験をベースに、読者が同じ苦労をしないための教訓を込めたコラムを執筆。現在は介護現場や周囲への取材を通じ、嫁姑・夫婦関係・ママ友など、複雑な人間関係のトラブル解決に繋がる情報を発信中。

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