毎日が戦争のような兄妹ゲンカ。「近寄らないで!」と叫ぶ娘に頭を抱える私でしたが、兄がインフルエンザで倒れた日、事態は一変。騒がしい日々の裏で密かに育っていた、相手を思いやる純粋な心と、家族の絆を再確認した物語です。

小さな手が刻む、優しいリズム

すると、娘がスッと部屋に入ってきて、兄の枕元にちょこんと座りました。
感染が頭をよぎり止めようとした私でしたが、娘の真剣な横顔に、思わず手が止まりました。
「にいに、だいじょうぶだよ」

娘の小さな手が、兄のお腹の上に乗せられました。
そして、自分が保育園で先生にされているように、ゆっくりとリズムを刻み始めたのです。

「ここにいるよ」 その声は、驚くほど穏やかで、まるで大切な存在を慈しむような響き。
兄は潤んだ目で妹を見つめ、蚊の鳴くような声で「……ありがと」と囁きました。

ケンカもまた、愛の裏返し

トントン、トントン。 静かな寝室で繰り返されるその優しいリズムを感じながら、私の胸は熱くなりました。
毎日繰り返される「嫌い!」の怒号。
でもそれは、遠慮なく自分をぶつけられる、二人なりの信頼の証だったのかもしれません。

ケンカという激しい波の下で、二人の根っこはしっかりと繋がっていた。
明日になればまた怪獣同士の戦いが始まるでしょう。

でも、この光景を知ってしまった今この瞬間は、その騒がしささえも、少しだけ愛おしく思えそうです。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。

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