筆者の話です。
母は施設で暮らしており、もうお正月に帰省することはありません。
それでも、母の味が恋しくて、市販のお節を用意するようになりました。
重箱を開けるたびに――あの台所の光景と、黒豆の香りがよみがえります。
画像: 【親の老い】もう母のお節は食べられないから。市販のお節を食べて「母の味」を探してしまう娘の葛藤

母のお節が並ぶ食卓

お正月になると、実家の食卓はいつも母の手作りのお節でいっぱいでした。
黒豆、伊達巻、煮しめ……どれも素朴で、温かい味。

「ちょっと味見させて」と口に入れる私を見て「仕方がないわね」と笑う母の姿が、年末の台所のいつもの風景でした。
当たり前のように並んでいた光景が、いつの間にか遠い記憶になっていました。

市販のお節に込めた思い

母が施設に入ってから、私はお正月の空気を感じたくて、市販のお節を買うようになりました。
重箱を開けると、きれいに詰められた料理が並びます。
見た目は華やかで、味も申し分ないのに――どこか心が満たされない。

美味しいけれど、実家の味ではない。
そう感じながらも、ひと口ごとに「どこかに母の味がないか」と探してしまう自分がいました。
「母の手」で作られたぬくもりが恋しかったのだと思います。

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