これは筆者自身の子育て体験です。
3歳の息子と一緒に、週2回のバス通いを続けた1年間。最初は落ち着きのない息子に苦労の連続でしたが、ある日小さな「ありがとう」が、彼の成長と地域の温かさを教えてくれました。子どもを育てるのは、親だけじゃないと気づかされた出来事です。
画像: バスで騒ぐ3歳息子と、注意され焦る私。1年後 → 成長した息子を見た『運転手さんの言葉』にホロリ

バスが大好きな息子との戦い

これは私自身の体験です。息子が3歳の頃から、習い事に通うため週2回決まった時間に同じ路線バスに乗っていました。バスが大好きな息子は乗るたびに大興奮。座席に座らず立ち上がったり、吊り革にぶら下がろうとしてバランスを崩したり……。バスの運転手さんに「お座りくださいね」とマイク越しに注意されたことも一度や二度ではありませんでした。

周囲の視線と冷や汗→続く葛藤

私もそのたびに「ちゃんと座ろうね」「静かにしようね」と繰り返し言い聞かせましたが、衝動的に動く3歳児をその場で落ち着かせるのは想像以上に大変でした。周囲の視線も気になり、毎回のように冷や汗をかいていました。育児の難しさを痛感しながら、それでもバスに乗る日はやってきます。

1年かけて座れるようになった

そんな日々が1年ほど続いたある日、息子はようやく落ち着いて座れるようになりました。とても静かに座席に座り、景色を見ながら楽しんでいる姿に、私は密かに胸を熱くしました。日々の積み重ねが、少しずつ息子の中に根付いていたのです。

初めての「ありがとう」が生んだ奇跡

私は以前から「バスを降りるときには『ありがとう』って言おうね」と繰り返し伝えてきました。でも恥ずかしがり屋の息子は、なかなか声に出せずにいました。ところがある日、初めて小さな声で「ありがとう」と言えたのです。その瞬間、いつもの運転手さんが振り返って、「ご挨拶できるようになったんだね! お兄ちゃんになったね」とニッコリ。

成長を認めてくれる大人の存在

運転手さんはさらに「最近はちゃんと座ってお利口になったね」とも言ってくれました。私たち親子の毎週の様子をずっと見守っていてくださったのです。たった一言の「ありがとう」が、子どもの心に自信を芽生えさせ、息子はその後も元気に挨拶できるようになりました。

子育ては、ひとりじゃない

この出来事を通して強く感じたのは、「子育ては親だけで完結するものではない」ということ。バスの運転手さんの一言、地域の人々の眼差し、それがどれほど私たちの支えになったか計り知れません。

地域の中で育つということが、どれだけ子どもにとって大きな学びになるのか。今、改めて実感しています。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。

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