親も、私たちと同じように悩み、夢を持った「1人の人間」です。大人になってから、親の知られざる一面に驚いたことがある人もいるのではないでしょうか? 今回は筆者の友人が母親とのエピソードを聞かせてくれました。

押し入れから出てきた“秘密”

ある日、実家の押し入れを整理していたとき、劇団のパンフレットが出てきました。
そして、そこにはなんと母の名前が!

「演劇やってたの?!」と驚いて聞くと、母は少し沈黙したあと、ぽつりと口を開きました。
「実はね……昔、女優になりたかったの。でも、途中でやめちゃったの。なんとなく恥ずかしくて、言えなかったのよ」

夢を語れなかったのは、諦めた自分が情けなかったから。
そして、夢に向かって進む私の前ではなおさら言えなかった……。

その言葉に、母の過去と葛藤が、にじむように浮かび上がってきました。

母と私をつないだもの

私は、母もかつて夢を追いかけていた1人だったことを、そしてその夢を「失敗」と思っていたことを、その日まで全く知りませんでした。

夢中で芝居に打ち込んだ日々、そして夢を諦めたときの気持ち……母の過去を聞くのは、これが初めてでした。

そして、その日を境に、母と私は少しずつ変わっていきました。
夢を持つことの痛みや喜びを共有できるようになったのです。まるで、長年閉ざされていた心の扉が、ゆっくりと開き始めたかのように。

母にとっては隠したい過去だったのかもしれませんが、私は母の過去を知ることで、ぐっと母を身近に感じられるようになりました。

【体験者:20代・女性、回答時期:2025年3月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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