親の何気ない冗談が、子供を深く傷つけ、ときには人生を左右してしまうことも。今回は、子供時代に受けた親の言葉に囚われ続けてしまった友人、C実のエピソードを紹介します。
画像: 【金食い虫】と呼ばれ育った私。お金に異常に執着し、親を恨んでいたが → 還暦祝いの日に涙した理由

「あんたは金食い虫」

私の両親の口癖は「あんたは本当に金食い虫だねぇ」でした。
冗談も混じっていたのかもしれませんが、実家の家計が火の車だったのは事実。学校での集金があるたびに言われ続けていたので、子供ながらに心苦しかったことをよく覚えています。そのため、興味のある習い事や部活も、お金のことを考えると、やってみたいと言い出せず、あきらめることの多い子供時代を過ごしました。

ろくでもない人生は、親のせい

大人になった私は、お金に異常に執着するように。
「お金さえあれば、人は幸せになれる」と信じ、大金を稼ぐために夜の仕事をしていました。
とはいえ、忍耐力や継続力がない私。まとまったお金を稼ぐとお店を辞め、しばらく休むと、また新しいお店を探す……そんな日々を送っていました。

就職や資格勉強への挑戦も考えなくもなかったのですが、行動には移せず、ダラダラと過ぎていく年月に焦りを感じるだけで、世界から自分だけが取り残されているような感覚でした。

好きなことにチャレンジして、最後までやり遂げる。友人たちが当たり前にしてきた、そんな体験を自分はさせてもらえなかった。だから、ろくでもない人生を送る羽目になったんだ、と両親に対して恨みを持つようになっていました。

両親の老いを目の当たりにし……

そんな私が「このままじゃダメだ」と強く思ったのは、両親の還暦祝いの日でした。
今まで気づかなかった、というより考えないようにしていたのかもしれませんが……気づけば親は随分歳をとっていました。
白髪だらけの両親の笑顔を見ると、胸がギュッとしめつけられ、思わず涙がこぼれてしまいました。

まともに就職も結婚もせず、適当に生きている娘を見て、気苦労も多いことでしょう。
たしかに、お金の心配はさせられましたが、今思えば愛情をかけて育ててもらったとは思います。
幼少期の親の言葉に固執してひねくれ、人生を無駄にしていたのは自分自身だったのかもしれません。

「これからは、私が両親を楽させてあげたい」
人生で初めて、「絶対にやり遂げたいこと」が見つかりました。

自分を愛せるように

それから、私は友人の経営するIT企業で働き始めました。ITの知識は皆無でしたが、経験を積んで年収を上げるため、日々仕事に勉強にと奮闘しています。

先日、初めて自分のお金で両親を旅行に連れて行きました。
今まで大嫌いだった自分のことが、好きだと思えるようになってきて、人生にも張り合いが出てきたように感じます。

これからも、両親、そして自分の人生を大切にしていきたいです。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2024年9月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

ltnライター:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。

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