筆者の話です。一人では難しい家事を手伝ってもらうため、介護サービスを利用し始めた母でしたが、支援の方が来る日はなぜか先に掃除を始めて──。
画像: 母「家が汚いからヘルパーは断ろう」「代わりに掃除して」逆やろ!? 困惑する娘を救ってくれたのは

介護サービス

一人で掃除や入浴などをすることが難しくなった母は、介護サービスを利用するようになりました。
母は弟と同居していましたが、弟は朝早く出勤し、帰宅するのは夜です。
私は母とは別に暮らしており、シフト勤務だったため、平日の休みが支援の日と重なると実家へ行くことがありました。

家事を手伝ってもらえるようになり、母の負担も減るだろうと思っていたのですが、支援の日には少し不思議なことが起こるようになったのです。

先に掃除?

「ここ片付けて」
「そこ掃除して」
支援の方が来る前、母が私にそう頼むことがありました。
「いや、それをしてもらうためにお願いしとるんやろ?」
私は思わずそう返しました。

どうやら母自身も、人が来る前に家をきれいにしておきたいらしく、支援の日になると先に掃除をしていたようです。
一人ですることが難しくなったからお願いしているのに、支援を受けるために自分で掃除をする。
私には不思議でしたが、母には「人が来るなら、その前に掃除をしておかなければ」という思いがあったようです。

本末転倒!

ある日、母は家の中を見ながら言いました。
「今日はもう家が汚いけん、来てもらうんやめようか」
「汚いから来てもらうんやろ! 本末転倒やん!」

思わず声が出ました。
支援してもらうためにお願いしているのに、家が片付いていないから断ろうとする母。
自分ではできなくなったことや、片付いていない家を人に見せること自体が、母には受け入れにくかったのかもしれません。

筆者の見解

ところが、いつも来てくださる支援の方と親しくなるにつれ、母の様子も少しずつ変わっていきました。
その方からの助言をよく聞くようになり、いつの間にか支援の日だからと先に掃除をすることもなくなったのです。

サービスに慣れたこともあると思います。
それ以上に母の中で「家事をしてくれる人」から「この人なら頼っても大丈夫」と思える相手へ変わっていったのかもしれません。
長年、自分で家のことをしてきた母にとって、人に任せることにも時間が必要だったのでしょう。

介護サービスが必要になったからといって、すぐに人の助けを受け入れられるとは限りません。
安心して頼れる関係ができることで、初めて「自分でやらなくても大丈夫」と思えることもあるのだと、母の姿を見て感じました。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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