
顔色をうかがう生活
夫は気に入らないことがあると、突然大きな声で怒ることがあります。
中学生の息子は、父親が怒り始めると反抗せず、できるだけ刺激しないよう静かにやり過ごしていました。
その後、「今日のオヤジ、やばかったね」「あれは意味わからん」とこっそりぼやくのです。
そんな姿を見るたび、「この子を守らなければ」と思っていました。
はっきり「やめて」と言えなかった
機嫌がいいと、こちらが望んでいないのに体に触れたり、距離を詰めたりすることがありました。
私はそうしたスキンシップが苦手。さりげなく避けるのですが、拒絶されたと感じると暴力的になることもあるのです。
そのため、波風を立てるのが不安で拒むことをためらっていました。
ある日も、夫が触れてきました。
嫌だと感じながらも、怒らせるのが怖くて何も言えずにいた、そのとき──。
驚きの行動
息子が、夫に向かって言いました。
「お父さん、それ嫌がってるならダメでしょ」
どうやら自分で調べたらしく、「夫婦でも、相手が嫌がってるのに必要以上に体を触るのはセクハラなんだよ」と続けたのです。
夫は一瞬ポカンとしたあと、「何言ってんだ」と吐き捨て、その場を離れていきました。
予想外の息子の言葉に、胸がいっぱいになりました。
ずっと「守らなければ」と思っていた息子が、私が怖くて言えなかったことを、父親にはっきり伝えてくれた。その勇気がうれしくて、涙がこぼれたのでした。
体験者の声
同時に、「息子がこんなに勇気を出してくれたのに、私はこのままでいいのかな」と自分に問いかけました。
それをきっかけに、これから自分がどう生きていきたいのかを見つめ直したのです。
そして、自分の力で生活していけるよう、以前の仕事に復職し、少しずつ別居に向けた準備を始めたのです。
あれから約1年。今では別居に踏み切り、息子と穏やかに笑って暮らせるようになりました。
あの日の言葉は、今でも私が前に進む原動力になっています。
守っているつもりだった我が子に、実はこちらのほうが背中を押されていました。子どもの成長を感じると同時に、「負けていられないな」と思えた出来事です。
【体験者:40代、女性、会社員、回答時期:2026年9月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


