
夫がいない間
私の夫は仕事が忙しく、長い間単身赴任をしていました。
休日も自分のやりたいことや行きたい場所を優先するタイプで、実家へ頻繁に顔を出すほうではありません。
一方、私たちが家を建ててからは義実家の近くで暮らしていたため、夫が不在でも私はなるべく義実家へ顔を出していました。
そんな生活が長く続く間に、義母も少しずつ年齢を重ねていきます。
普段から接している私にはその変化が見えていましたが、離れて暮らすことが多かった夫には、あまり実感がなかったようです。
久々の実家
やがて定年退職が近づき、夫が地元で過ごす時間も以前より増えてきました。
ある日、夫は一人で義実家へ行くことに。
久しぶりに自分の実家で、ゆっくり過ごすつもりだったようです。
ところが、一人でやって来た夫を見た義母は驚いた様子で「え? なんであんただけで来たん?」とひと言。
夫にしてみれば、自分の実家へ一人で帰っただけです。
まさか母親から「なぜ一人で来たのか」と言われるとは思っていなかったのでしょう。
実の子なのに
義母にとって、息子が一人で長時間滞在するとなれば、食事を用意するなど何かと世話をすることが増えます。
夫は昔と変わらず「実家だからゆっくりできる」と思っていたようですが、義母も80代。
普段から接していた私は、以前と同じように息子の世話をすることが負担になるのも理解できました。
帰宅した夫は納得できない様子で「俺が実の子どもやのに」とポツリ。
その言葉を聞いて、夫の中には今も「実家へ帰れば母親に甘えられる息子」という感覚が残っているのかもしれないと思いました。
体験者の声
もちろん、何歳になっても親子であることに変わりはありません。
ただ、自分が年齢を重ねたということは、親も同じだけ年齢を重ねたということです。
久しぶりに帰った夫には以前と変わらない実家に見えても、義母にとっては息子を迎えて食事などの世話をすることが昔より負担になっていました。
「俺が実の子どもなのに」と不満そうな夫を見て、親子であっても年齢とともに付き合い方を変えていく必要があるのだと感じた出来事です。
実家だからと昔と同じ関係を求めるのではなく、今の親にできること、負担になることを考えながら接していくことが大切なのかもしれません。
【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


