
初めてのお付き合い
娘に彼氏ができました。
「すごく優しいんだよ」「頭めっちゃいいの」と、うれしそうにのろけ話をしてくれます。そんな姿を見るたび、私も「どんな子なんだろう」と、会える日が楽しみになりました。
ところが彼の名前を聞いたとき、ふと昔の記憶がよみがえったのです。
娘が小学校高学年だった頃、学校で大きな問題になったいじめがありました。その中心にいた子と、名前が同じような気がしたのです。
いじめの経験がある彼氏?
気になって仕方がなくなった私は、当時のママ友に連絡。名前を確認すると、なんと記憶していた通りでした。
「まさか……」
一気に不安になりましたが、昔のことを理由に娘の交際に口を出すのも違う気がします。結局何も言えないまま、わが家へ遊びに来る日を迎えたのです。
実際に会ってみると、彼はきちんとあいさつをして、受け答えも丁寧。とても礼儀正しい青年です。
(本当に、この子が?)
記憶にある話とのギャップに、私はますます混乱しました。
何気なく聞いた質問に「えっ!?」
話の流れで私は、「娘とは、小学校も一緒だったんだよね?」と何気ないふりをして尋ねてみました。
すると彼は、「いえ、その頃はアメリカに住んでいました」と答えたのです。
「えっ!?」
驚く私の横で娘は、「そうそう! 英語もペラペラなんだよ」と、どこか自慢げ。
後から確認すると、二人はまったくの別人。読み方が同じだっただけで、漢字が違っていたのです。
体験者の声
一人で警戒していた私は、真相を知って一気に力が抜けました。
名前だけで過去の記憶と結びつけ、「あの子に違いない」と思い込んでいたことを反省。親になると子どものことが心配で、つい先回りして考えてしまうのかもしれません。
楽しそうに彼の話をする娘を見ながら、「早とちりでよかった!」と心の底からホッとしました。
【体験者:50代、女性、主婦、回答時期:2026年8月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


