
やっと迎えた「ご褒美の日」
ダイエットのためジムへ通い、外食も炭酸飲料も我慢していたN子さん。
ようやく目標体重を達成し、「今日は絶対ハンバーガーを食べる!」と決めていました。
仕事のお昼休憩に初めて入るファストフード店へ。
店員さんにも
「目標達成したのでご褒美なんです」
と話すと、
「すごいですね! ゆっくり召し上がってください」
と笑顔で送り出され、幸せな気持ちで席へ向かったそうです。
なぜか私だけ掃除される……
席で食事を始めると、一人の店員さんがほうきを持って掃除を始めました。
最初は気にしていませんでしたが、何度もほうきが足へ当たります。
偶然だと思い足を避けても、また同じことの繰り返し。
ついには椅子の奥までほうきを差し込み、狙ったように何度もかかとへ当てられたそうです。
不思議に思って振り返ると、その店員さんは慌ててバックヤードへ入っていきました。
助けてくれたのは見知らぬ人たち
すると近くにいた男性客から、
「今、めっちゃ足狙われてましたよね?」
と声を掛けられました。
さらに別の男性客も、
「俺のところは掃除来なかったのに、お姉さんのところだけやったから見てました」
と話し、お店へ事情を説明してくれたそうです。
その後、責任者から謝罪を受けました。
店員について確認すると、まだ仕事に慣れていない新人だったことが分かったといいます。
一番嬉しかったこと
その後、店員がなぜ足にほうきを当ててきたのかは分からないままでした。
掃除に慣れていない新人だったため、掃除に集中するあまり偶然当たってしまったのか。それとも何か理由があって意図的に当てていたのか、N子さん自身にも真相は分かりません。
お店からは改めて謝罪があり、お詫びをしたいと言われました。
しかしN子さんは、
「別にケガをしたわけでもないし、そこまでしてもらわなくても大丈夫です」
と、お詫びを辞退したそうです。
それよりも、目標体重を達成して楽しみにしていたご褒美の日だったこと、そして何より、見ず知らずの男性たちが自分のことを気にかけ、わざわざ店員に伝えてくれたことが嬉しかったといいます。
「嫌なこともあったけど、それ以上に人の優しさが嬉しかった。もうそれだけで十分やなって思いました」
N子さんにとって、あの日は思いがけず人の温かさを感じる一日になったそうです。
体験者の声
困っている人を見かけても、「自分には関係ない」と通り過ぎてしまうことは少なくありません。
そんな中、勇気を出して声を掛けてくれた見知らぬ人たちのおかげで、嫌な出来事よりも人の温かさが心に残りました。
あの日食べたハンバーガーは、味だけでなく、人の優しさまで忘れられないご褒美になったそうです。
【体験者:30代・女性医療従事者、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


