寝込んだ朝に筆者の夫が放ったひと言で、普段は気付かれない小さな家事の存在を改めて考える出来事があり──。
画像: 「誰が俺の靴蹴ったん?」私が寝込んだ翌朝、夫が玄関で言葉を失った理由は

脱ぎっぱなし

夫は仕事から帰ると、玄関で靴を脱いだまま家へ上がるのが当たり前でした。
左右の向きもそろっておらず、少し斜めに置かれたままの日もあります。

「また靴がそのまま……」
心の中でそう思いながら、私は気付いた時にそっと向きを直し、毎日履きやすい向きに並べていました。
翌朝になると、夫は何も言わずにその靴を履いて出勤していました。

寝込んだ日

ところがある日、私は体調を崩してしまいました。
夕方から熱が上がり、その日は夕食を済ませた後も起き上がることができません。
玄関の靴も、そのまま手を付けられずに寝室へ入りました。
翌朝も布団の中で休んでいると、玄関から夫の声が聞こえてきたのです。

「誰が俺の靴蹴ったん?」
一瞬驚きましたが、その言葉を聞いてすぐ理由が分かりました。
普段は玄関の方へ向けて並んでいる靴が、その日はバラバラの向きで残っていたのです。

気付いた瞬間

私は思わず答えました。
「誰も蹴ってないよ。昨日、そのまま脱いだやろ?」
夫は一瞬黙り込み、それから玄関を見直しました。
「あ……昨日俺が脱いだままなんか」
そして少し照れたように笑いながら言いました。

「今まで全然気付いてなかった」
毎朝きれいに靴がそろっていたのは、 自分がきちんと脱いだからではありません。
私が毎回そろえていたからです。
夫はそこで初めて、毎日私が靴をそろえていたことに気付いたのです。

筆者の見解

家事というと、料理や洗濯、掃除のような大きな作業を思い浮かべる人が多いかもしれません。
靴をそろえる数秒の手間も、毎日続ける人がいるからこそ、朝の支度がスムーズに進んでいたのだと実感しました。

あの日以来、夫は以前より靴をそろえてくれる日が増えました。
私自身も「気付いてもらえない」と決めつけるのではなく、伝えることも大切なのだと感じています。
家事は、大きなことだけではありません。
毎日何気なく続けている小さな積み重ねが、暮らしを支えているのだと改めて実感した出来事でした。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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