
「頑張って飲むね」を合言葉に
うちの薬局では、苦い薬や量の多い薬を頑張って飲みきった子供に、キャラクターのシールを配る取り組みをしています。小さな子にとっては薬を飲むのも一苦労。それでも「シールがもらえるなら」と、泣きながらでも頑張って飲みきる子がたくさんいます。
最初にこの取り組みで来店されたのは、体調を崩したお子さんを連れたMさん親子でした。「これ飲んだらシールもらえるよ、頑張ろうね」とお母さんに励まされ、「頑張って飲むね」と笑顔で薬を受け取るお子さんの姿に、こちらまで嬉しい気持ちになったのを覚えています。
「みんなシールもらってきな!」で豹変
ところが次に来店した際、Mさんは体調を崩したお子さんだけでなく、元気な兄弟3人まで店内に並ばせ、「みんなシールもらってきな!」と要求してきました。処方箋のない子にまでシールを渡すのは本来の趣旨から外れますし、体調を崩したお子さんの近くに健康な兄弟を並ばせることに感染のリスクも感じました。それでもその場では波風を立てられず、渋々シールを渡してしまいました。
さすがにこのままではまずいと思い、後日上司に相談。以降は「処方箋のあるお子さん限定」という方針に変更することになりました。
舌打ちして帰っていったMさん
再びMさんが4人全員を連れて来店したため、新しい方針を丁寧に伝えたところ、Mさんはあからさまに舌打ちをして、何も言わずに帰っていきました。気まずい空気が店内に流れましたが、これで諦めてくれるだろうと、正直ほっとしていたのです。しかし、事態はそこで終わりませんでした。
シール欲しさが招いた結末
数日後、窓口に差し出されたのは、まさかの4人分の処方箋でした。シール欲しさに何度も連れ回されるうち、もともと健康だったはずの兄弟たちまで、揃って体調を崩してしまっていたのです。おそらく人混みの中を連れ歩かれたことが原因だったのでしょう。
筆者の見解
シールという小さなご褒美のために子供をリスクのある場所へ連れ回した結果がこれなのかと思うと、なんとも複雑な気持ちになった出来事でした。
【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。

