「どうしてこんなに確認するの?」と思われる仕事には、大切な理由が隠れていることがあります。銀行員の友人が、体験談を聞かせてくれました。
画像: 銀行で「融通が利かない」と怒って帰ったお客様。数週間後、窓口で【頭を下げた理由】とは

融通が利かないと言われて

銀行の窓口で働いていると「そんなに何度も確認しなくてもいいだろう」「急いでいるのに融通が利かないね」と言われることがあります。

たしかに銀行の窓口では、本人確認をはじめ、規定に沿った確認手続きを行っています。
時間がない方や急いでいる方がもどかしさを感じるのも分かります。

ある時、年配の男性が来店されました。
「妻は家にいるから、代わりに手続きがしたい」と言われましたが、本人ではない場合は、規定に沿った確認手続きが必要です。

それを説明すると「夫婦なんだから同じだろう」「何度も来ているんだから顔くらい覚えてるでしょ」と言われましたが、規定を曲げるわけにはいきません。

何度も確認を重ねるうちに、男性は「融通が利かないな!」と激昂。

他のお客様の視線が集まる重苦しい空気の中、怒鳴り声の余韻が残る窓口で、私はただ「申し訳ありません」と頭を下げることしかできませんでした。

違和感のある振り込み依頼

数週間後、その男性が再び来店されました。

慌てた様子で「今日中に振り込まないといけないんだ」と高額の振り込みを希望する男性。
いつもどおり目的を確認すると、「息子の会社の関係で……」と説明が曖昧です。

さらに話を聞くと、電話で急かされ「誰にも相談するな」と言われていることも判明。

違和感を覚えた私は上司と一緒にさらに詳しく事情を確認し、詐欺の可能性も考えて警察へ連絡しました。

確認が救った大切なお金

結果、その男性は特殊詐欺に巻き込まれかけていたことが判明!
もちろん振り込みは中止となり、男性は「危なかった……」と何度も胸をなで下ろしていました。

帰り際、男性は私の窓口まで来ると、深く頭を下げて「この前はきつい言い方をして悪かった。なんであんなに確認するのか分からなかったけど、本当に意味があることだったんだね」と言ってくださったのです。

その一言で、あの日の悔しさが報われた気がしました。

体験者の声

銀行での本人確認や振り込み理由の確認は、お客さまを疑うためではありません。
むしろ、お客様の大切なお金を守るためのものなのです。

銀行は、いわば最後の砦。
だからこそ、たとえお客様が面倒と感じることでも、規定に沿った手続きをお願いしています。

時には厳しい言葉を向けられることもありますが、あの男性のように「確認してくれてよかった」と思っていただける瞬間があるから、この仕事には大きな意味があるのだと、今でも強く感じています。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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