しかし数年後、採血が大好きになった自分が“呼ばれる側”になって気付いたことがありました。

新人時代は「ベテランを呼んで」がありがたかった
新人看護師だった頃、私は採血が苦手でした。
患者さんから
「ベテランさんを呼んでください」
と言われるたびに、実は少しホッとしていたのを覚えています。
代わりに来てくれる先輩は少し困った表情をしていましたが、私は「頼られていてかっこいいな」と羨ましく思っていました。
立場が変わって初めて分かったこと
数年後、経験を積んだ私は、いつの間にか「採血ならあの人」と言われるようになりました。
すると、患者さんから指名されるたびに自分の仕事は中断。
担当患者さんを待たせることも増え、後輩への指導中でも呼ばれる場面が多くなりました。
病棟であれば他の看護師がフォローできますが、クリニックでは特定の看護師しか指名されないことで、診療全体が滞ってしまうこともあります。
そして、新人看護師は陰で何度も練習を重ねていますが、経験を積む機会がなければ、いつまでも成長することはできません。
ベテランも最初は新人だった
私自身が採血を得意になれたのは、新人時代に患者さんたちから
「失敗してもいいから何度も経験しなさい」
と背中を押してもらえたからでした。
もちろん、患者さんが「失敗されたくない」と思う気持ちもよく分かります。
実は私自身、入院した際に新人看護師さんから7回採血に挑戦され、さすがに
「ベテランさんをお願いできますか」
とお願いした経験があります。
だから私は、患者さんがベテランを希望することを否定したいわけではありません。
ただ、もし時間に余裕がある時や、「この人なら任せてみよう」と思えた時だけでも、新人看護師に一度チャンスをいただけたら嬉しいです。
その経験の積み重ねが、その新人看護師が将来「採血が上手な看護師」として誰かを安心させることにつながります。
筆者の見解
実際、私も新人時代は「採血は苦手だから、できれば避けたい」と思っていました。
それでも経験を積むうちに、今では「採血大好きです! 私が行きます!」と自ら立候補する、少し珍しい看護師になりました(笑)。
もしかすると、その一度の経験が、未来の”採血大好き看護師”を育てるきっかけになるかもしれません。
患者さんの安心も、新人看護師の成長も、どちらも大切にできる医療現場であってほしいと感じた出来事です。
【体験者:30代・筆者、回答時期:2026年7月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


