
近寄りがたい、無口な先輩
これは、少し前まで職場にいた、B美先輩の話です。
彼女は仕事はできるのですが、いつも淡々としていて無口。
業務で話しかけてもそっけなく、ランチだって、いつもひとりで食べています。
私は、そんなB美先輩のことを近寄りがたく感じ、なんなら「嫌われているのかも」とさえ思っていました。
突然の退職
そんなB美先輩が、ある日、家庭の事情で退職することに。
最後まで、特に打ち解けることもないままでした。
「結局、B美先輩とは仲良くなれなかったな」
少し寂しくも思いながら、正直、どこかホッとした気持ちになったのも事実です。
「なんだかとっつきにくくてやりづらかったし、これからは気を遣わなくてすむわ」
引継ぎ資料に書かれていたのは……
B美先輩の担当業務は私が引き継ぐこととなったのですが、彼女が残していってくれた資料を開いてみて、びっくり──。
そこに記されていたのは、ただの業務手順ではありませんでした。
「この作業は、A子さんが苦手そうだったので、特に丁寧にまとめてみました。万一わからないことがあれば、いつでも連絡ください」
「困ったときは、ここを見れば大丈夫!」
ページのあちこちに、後任である私を気遣う言葉が、びっしりと書き込まれていたのです。
まさか先輩が、こんなにも私のことを気にかけてくれていたなんて。
「嫌われていると思っていたのに……」
驚きとともにページをめくっていくと、最後にこんなメッセージが添えられていました。
「いつも一生懸命なA子さんを尊敬し、感謝していました。私は口下手で、うまく話せなくてごめんなさい」
体験者の声
その一文を読んだ瞬間、自分のことが恥ずかしくなりました。
本当は、B美先輩はとても優しい人だったのに、私はそれに気づくことができなかった。
それどころか、嫌われていると勝手に思い込んで、自分からコミュニケーションをとることを避けてしまった。
もっと早く、私から歩み寄っていれば、仲良くなれたかもしれないのに──。
後悔しても、もう遅いですよね。
表面だけで人を判断してはいけないと、痛いほど思い知らされた出来事でした。
【体験者:30代女性・会社員、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。

