筆者の体験です。部下から預かった「ある秘密」を、管理職としてどう守るべきか悩み続ける日々が続いて──。
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突然の報告

「少しお話があります」
コールセンターで管理職をしていた頃、ある部下からそう声をかけられました。
会議室で話を聞くと、妊娠したという報告だったのです。

最近は体調不良で休む日が増えていたため、何かあったのではないかと心配していました。
体調不良の原因が分かり、大きな病気ではなかったことにほっとしました。
会社へ必要な報告を済ませると、本人は少し申し訳なさそうな表情でこう続けました。
「安定期に入るまでは、チームのみんなには言わないでほしいんです」
もちろん私は、そのお願いを受け入れました。

広がる憶測

その後も、彼女は体調によって急に休む日がありました。
シフトを調整する立場だった私は、そのたびに周囲へ業務の割り振りを行います。
すると、少しずつチーム内でも変化に気づく人が出てきました。
「最近休みが増えていますよね」
そんな声が聞こえ始め、やがて、
「もしかして妊娠したんじゃないですか?」
と直接聞かれることもあったのです。
事情を知っている私は、どこまで答えていいのか、答えに困ります。
けれど、おめでたい話だからといって、本人より先に私が伝えるわけにはいかなかったのです。

守るべきこと

質問されるたび、私は答えを変えませんでした。
「そういう話は本人から聞いてくださいね」
肯定も否定もせず、それだけを伝え続けたのです。
それ以上は何も説明せず、同じ言葉を繰り返しました。

本人が安心して働ける環境を守ることも、管理職の役割だと思っていました。
秘密を預かる立場だからこそ、話せない理由まで説明することはできません。
本人の希望を守りながら、周囲の質問にも対応する難しさを実感する日々でした。

筆者の見解

やがて安定期に入り、本人が自分の口でチームへ妊娠を報告しました。
その瞬間、メンバーからは「そうだと思った」「おめでとう」と笑顔で祝福の声が上がります。
温かな空気に包まれた職場を見て、ようやく私も、周囲からの質問に言葉を選び続ける日々が終わったと感じました。

妊娠はおめでたい出来事です。
けれど、おめでたい話だからこそ、伝えるタイミングは本人が決めるべきものなのだと改めて感じました。
管理職として秘密を預かる難しさと、情報管理の大切さを実感した出来事です。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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