筆者の友人H奈が母との会話の中で改めて気づいた、昭和から令和にかけての働き方にまつわるエピソードをご紹介します。
画像: 父「仕事が第一」家族が行き着いた先は。母「今だから言うけど」隠された本音に、娘「胸がぎゅっとなる」

家事も育児も母のワンオペ状態だった我が家

H奈は30代の主婦です。3歳の息子を育てながら暮らしています。夫は仕事が忙しい時期以外は、帰宅後積極的に家事や育児に参加してくれ、休日には息子を公園へ連れて行き、お風呂や寝かしつけも担当してくれます。

そんな夫の姿を見るたびに、H奈は自分の父親を思い出すことがあります。

父は大手企業に勤めており、毎日のように終電近くまで働いていました。平日はほとんど顔を合わせることがなく、休日も接待ゴルフや会社の付き合いが優先です。当時はそれが普通だと思っていました。

「仕事が第一」が当たり前だった時代

ある日、実家で母と昔話をしていた時のことでした。

H奈が何気なく「お父さんって、私が小さい頃ほとんど家にいなかったよね」と話すと、母は苦笑いしながら「そうね。でもあの頃は仕方なかったのよ。家庭より仕事が優先だったから」と答えました。父は運動会や授業参観に参加したことがほとんどなく、子どもが熱を出しても母ひとりで病院へ連れて行き、家のこともすべて担当していました。

それでも周囲からは「旦那さんが頑張って働いてくれて幸せね」と言われていたのだとか。H奈は驚きを隠せませんでした。

もし自分が母の立場だったら……

その夜、自宅に戻ったH奈はふと考えました。もし今、自分の夫が毎日深夜帰宅で、育児にも家事にも一切関わらなかったらどうだろう。息子の発熱も保育園の行事もすべてひとりで背負い、相談相手もいない生活を続ける自信がありません。むしろ心身ともに限界を迎えていたかもしれないと考えるとゾッとしてしまいました。

翌日、そのことを母に伝えると「今だから私も思うの。よくやっていたなって」と笑っていました。そして少しだけ真顔になり「でも本当に大変だったわよ」と母になったH奈に本音をそっと漏らしてくれました。

その言葉を聞いたH奈は胸がぎゅっとなりました。父が家族のために必死で働いていたことは事実です。ただ、家庭を犠牲にする働き方が美徳とされていた時代そのものに違和感を覚えたのでした。

昔の価値観を否定するつもりはありません。しかし、仕事だけが人生のすべてではないという考え方が広がった今は、確実に良い方向へ変化しているのだと思います。

家族との時間も大切にできる社会になったことを有り難く思うと同時に、当時の母親たちの苦労を想像すると、改めて感謝と尊敬を強く感じたエピソードでした。

【体験者:30代・女性主婦、回答時期:2026年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Miwa.S
事務員としてのキャリアを積みながら、ライター活動をスタート。持ち前の聞き上手を活かし、職場の同僚や友人などから、嫁姑・ママ友トラブルなどのリアルなエピソードを多数収集し、その声を中心にコラムを執筆。 新たなスキルを身につけ、読者に共感と気づきを届けたいという思いで、日々精力的に情報を発信している。栄養士の資格を活かして、食に関する記事を執筆することも。

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