
義母からのプレッシャー
結婚4年目で、不妊治療を続けている私にとって、義母と会うことがなによりのストレスでした。
というのも、顔を合わせるたび、義母は妊娠を急かしてくるのです。
「子供のこと、ちゃんと考えてるの? 早い方がいいわよ」
「私のときは、結婚してすぐできたんだけどね」
そう言われるたび、「そうですね」「頑張ります」と笑顔でやり過ごしていましたが、内心は辛くてたまりませんでした。
私だって、早く授かりたいのに。
夫に気持ちを打ち明けたこともありましたが、「母さんも悪気はないから」とやんわりかわすばかり。
彼が庇ってくれることは、ありませんでした。
親戚全員の前で……
ある年の正月、夫の実家に、新年の挨拶に行ったときのことです。
親戚一同が集まる中で、義母がまたいつものように切り出しました。
「今年こそ、孫の顔をみたいわね」
ああ、また始まった。
新年早々、本当に嫌になります。
しかも、親戚全員の前で、こんなデリケートな話をされるなんて、恥ずかしくてたまりません。
だからといって、不機嫌な態度をとるわけにもいかない。
いつものように作り笑顔を浮かべ、「そうですね」と返そうとした、その瞬間――。
夫が、庇ってくれた!?
「母さん、その話はもうやめてくれるかな。俺たちなりに頑張ってるから」
隣に座っていた夫が、きっぱりとした口調で言ったのです。
耳を疑いました。
あの夫が、初めて庇ってくれた――。
義母も驚いた顔で、さすがに気まずそうです。
「あら、そう……ごめんなさいね」と口をつぐみ、その日は一切、子供について言及してくることはありませんでした。
心が救われた
帰りの車内で、私は、色々な想いがあふれ、涙が止まらなくなってしまいました。
夫は、静かに私の背中をさすりながら言います。
「もっと早く言うべきだった──ごめん」
今まで、義母になにも言ってくれない夫に不満を持っていました。
でも、親戚全員の前で私を守ってくれたことには驚きましたし、本当に嬉しかったです。
なんだか、これまでの自分が救われたように感じました。
体験者の声
それ以来、義母からの「まだ?」は、パッタリとなくなりました。
どうやら、あのあとも夫は義母に連絡をとって、夫婦のことだから、プレッシャーをかけないでほしいと話してくれたようです。
おかげで、義母との関係は大きくこじれることもなく、今もそれなりにうまくやれています。
もし、夫が間に入ってくれなかったら、遅かれ早かれ、嫁姑の関係は絶望的なものになっていたことでしょう。
後ろ向きになりかけていた妊活自体も、また頑張ろうと思うことができました。
辛いことがあっても、そばに一番の理解者がいてくれるだけで、気持ちのもちようはずいぶん変わるものです。
この先、夫にどんなに腹が立つことがあっても、泣いている私の背中をさすってくれた、あの手の温かさだけは、ずっと忘れられないことでしょう。
【体験者:30代女性・パート主婦、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:大城サラ
イベント・集客・運営コンサル、ライター事業のフリーランスとして活動後、事業会社を設立。現在も会社経営者兼ライターとして活動中。事業を起こし、経営に取り組む経験から女性リーダーの悩みに寄り添ったり、恋愛や結婚に悩める多くの女性の相談に乗ってきたため、読者が前向きになれるような記事を届けることがモットー。

