母は家族のために毎日必死でご飯を作っているというのに!
腹の立ったA子さんは、あることを思いつき――?

「ママのご飯より給食」
ある日の食卓で、小学生の息子から言われた言葉に、私はショックを受けてしまいました。
「給食って本当においしいよね〜♪ ママのご飯より好きかも」
……えぇ?
母はどんなに疲れていても、毎日必死で台所に立っているというのに。
育ち盛りの息子のために、栄養バランスのいい献立を考えて品数にも気をつかうことが、どれだけ大変なことか。
なんの気なしの言葉でしょうし、給食の時間を楽しんでいるのはいいこと。
ムキにならず笑って受け流せばいいとは思うのですが、思いのほか胸にくるものがありました。
せめて夫が「ママの料理だっておいしいだろ」とフォローしてくれればよかったのですが、彼も彼で「わかる! 俺も給食大好きだったよ〜! 懐かしいな〜」なんて、息子と一緒になってはしゃいでいます。
――もう、人の気も知らないで!
母の思いつき
やるせない心情の中、ふと、あるアイディアが浮かびました。
「よ〜し、だったら、おうちご飯で給食を再現してやろうじゃないの」
そうと決まれば、さっそく給食レシピを検索し、研究開始。
息子が好きだというメニュー、夫が懐かしいというメニューをリストアップしました。
「給食のカレー」「揚げパン」「つみれ汁」「ソフト麺」——。
腹いせ半分ではじめたはずなのに、調べているうちになんだか楽しくなってきてしまうのですから、不思議です。
大盛り上がりの食卓
週末、私は得意げに給食メニューを食卓に並べました。
食器も給食で使われているものをネットで注文したので、見た目の雰囲気まで完全再現です。
息子は「すごい! おうちで給食だ!」と大興奮。
夫はというと——。
なんと、懐かしさで感傷的になったのか、一口食べるなり「あの頃の味だ……」と泣き始めてしまいました。
これには私もびっくり。
「そんなに懐かしかったのね(笑)」
最初は悔しくて、腹いせ半分で思いついたことだったのに、まさかこんなに喜んでもらえるなんて。
ふたりの嬉しそうな顔を見ていると、私も幸せな気持ちになりました。
その日の食卓は、大盛り上がり。
「ママ、また給食のご飯作ってね!」と、愛する息子にせがまれては、第二弾も張り切らないといけませんね。
体験者の声
給食レシピは、栄養バランスが徹底的に考え抜かれていますし、なによりおいしいですよね。
偏食な子にも喜んで食べてもらえるように、たくさんの工夫がなされているんだなと、改めて気づきました。
今回のことで私の料理の幅も広がり、食育にもっと関心が強くなったのは思いがけない収穫でした。
これも、息子のあの言葉のおかげですね。
いつか息子も、夫のように、給食を懐かしむ日がくるのでしょう。
同じように、「母の味」も、ふとしたときに思い出してもらえたらいいな。
そう思いながら、今日も家族のために、せっせとご飯を作る私なのでした。
【体験者:40代女性・パート主婦、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


