働き方に対する考え方は時代とともに少しずつ変わっていますが、当時を知る人の話を聞くと、その違いに驚かされることも少なくなく──今回は、筆者の友人の体験談をお届けします。
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上司からの指示

新卒で営業職に就いたばかりの頃のことです。
上司から、「とにかく愛想を振りまいて、お酌をして仕事を取ってこい」と指示されました。

今ではありえないことですが、当時はそれが女性の営業の王道だと本気で信じられていた時代です。

たしかに愛嬌もひとつのスキルですし、お酒の席でのコミュニケーションも大切だと思います。

でも私は、自分の提案や説明で信頼される営業になりたいと思っていました。

前任者が残した現実

私が受け持った業務の前任者は、会食や飲み会を積極的に活用し、顧客との距離を縮めるのが得意な人でしたし、実際に社内でも高く評価されていました。

しかし、彼女が退職した途端、一部の取引先との関係が切れてしまったのです。

後になって「彼女とは話していて楽しかったけれど、仕事の相談はしづらかった」という顧客の声を聞き、私は改めて営業として目指したい姿を考えるようになりました。

実力で勝負したい!

ある時、大手企業への提案営業をすることになりました。
上司はいつものように会食を勧めましたが、私はあえてそれを断りました。
その代わり、先方の課題を徹底的に調べ、比較資料を作り込んだのです。

会議当日、内心ハラハラしつつも、私はその資料を取引先の担当者に提示して、丁寧なプレゼンテーションを行いました。
反応を待つ間、緊張で自分の足元が震えていたのを鮮明に覚えています。

「きっと生意気だと思われているんだろうな……」と弱気になりかけていた時、担当者が資料に目を落としたまま「ここまで調べたのか、すごいなぁ」と呟きました。

そして、いくつか質問を重ね、提案内容に強い関心を示してくれたのです。

部屋の空気が明らかに変わった瞬間でした。

体験者の声

後日、その企業から大きな注文をいただき、私の社内評価は一変しました。

もちろん、人との関係づくりが不要だとは思いません。
ただ、最終的に信頼を生むのは「この人なら課題を解決してくれる」という安心感なのだと私は感じています。

あの日の緊張感と、担当者が真剣に耳を傾けてくれたときの高揚感は、今でも私を支える大切な財産です。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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