筆者が小学生だった40年ほど前は、クラス全員の個人情報が載った名簿が当たり前のように配られていましたが、その「当たり前」が今思えばあまりにも残酷だったと気づくことがあります。
画像: 「母親がいない子」と指を差された男の子。シングルファザー家庭を晒し者にした名簿の『恐ろしい実態』

"お母さんの名前"

40年ほど前、私が小学生だった頃は、クラス全員の住所や電話番号、両親の名前が載った名簿が各家庭に配られていました。

クラスに一人、お母さんの名前だけが載っていない男の子がいました。シングルマザーすら珍しかった時代に、シングルファザー。名簿を見れば一目瞭然。先生も親たちも、彼のことを「お母さんのいない子」として見ていたように思います。子どもだった私も、心のどこかで思っていました。「お母さんのいない、かわいそうな子」と。

悪意があったわけではありません。ただ、そういう空気がクラス全体にあったのです。名簿という形で家庭の事情がクラス中に知れ渡り、誰もそれを疑問に思わなかったのです。あの時代の「当たり前」とは、そういうものでした。

今の私だったら

今、私はシングルマザーとして小学生の息子を育てながら働き、自由で幸せな毎日を送っています。誰も差別的な目で私たちを見ることはありません。でも、あの時代だったらどうだったでしょう。
離婚という選択肢すら、頭に浮かばなかっただろうと思います。

あの子は今、どこで何をしているのだろう。あの名簿をどんな気持ちで眺めていたのだろう。
今の息子の姿と重なり、胸が苦しくなることがあります。

当時は気づかなかったけれど、あの時代の「当たり前」は、子どもにとってあまりにも残酷だったのかもしれません。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:森奈津子
海外生活や離婚、社会人での大学再入学など、多彩な経歴を持つライター。現在は幼稚園教諭として保護者の悩みに寄り添うほか、日々の人付き合いの中から生まれるリアルな本音に耳を傾け、多様な価値観に触れてきた独自の視点でそれらを記事にしている。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.