仕事でも家庭でも、「逃げ出したい」と感じる瞬間にあと少しだけ踏ん張ってみることで、思いがけない景色が見えることもあるもので──今回は、筆者の友人の体験談をお届けします。
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転職を繰り返す夫

夫は昔から、一つの職場に長くいるのが苦手でした。

仕事そのものは真面目にこなしますし、周囲との関係も悪くありません。
それなのに、しばらくすると決まって「転職しようかな」と言い出すのです。

一年ほど前にも「今の職場は努力が正当に評価されないんだよな」なんて、もっともらしい理由を並べて転職を口にしたことがありました。

でも長年夫を見てきた私には、評価への不満というより、今の環境に飽きて離れたい気持ちのほうが大きいように見えました。

怒る代わりに出した条件

それまでなら感情的に反対するか、諦めて受け入れるかしていたと思います。
ただ、その頃の我が家は子どもが生まれたばかりで、私は育休中。
夫が勢いで仕事を辞める状況だけは避けたいと思っていました。

そこで私は、感情的に怒るのをやめて、“ある条件”を突きつけることに。

夫に、
「転職するのはいいよ。その代わり、生活防衛費としてこれだけ貯めてからね」
と、家族が数か月は暮らせる現実的な金額を提示したのです。

必死の先で見つけたこと

とにかく早く会社を辞めたい夫は、その目標を達成するため必死になりました。
積極的に業務を引き受け、目の前の仕事に真剣に向き合うようになったのです。

すると不思議なことに、周囲からの評価がどんどん上がり始め、大きな案件を任されるようになりました。

同時に、夫の中でも何かが変わったようです。

仕事への手応えも感じるようになったらしく、「最近、売上目標を追うのが楽しいんだよね」と話す表情は、以前とはまるで別人でした。

夫の選択は?

目標額が貯まった今も、夫は会社を辞めず、むしろ以前より意欲的に働いています。
転職の話もすっかり口にしなくなりました。

もちろん、たまたま運が良かった部分もあるのかもしれませんが、逃げ出したいという衝動を一度受け止め、あえて別の形でエネルギーを使わせたことが、思わぬ方向に作用したのでしょう。

体験者の声

小さなブレーキが、夫にとっては逃げ道ではなく成長のきっかけになったようです。

【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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