筆者の知人Aさんの話です。チック症に悩んだ過去、周囲の理解と友人のさりげない支えが救ってくれたそうです。そこから考える「本当の優しさ」とは?
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やめたくても、やめられなかった

Aさんは、子どものころチック症がありました。

「んっ」と声が出たり、肩をすくめたりする動きが、自分の意思とは関係なく出ていました。やめようと思ってもやめられず、意識するとかえって症状が強くなってしまいました。

子どもの世界では、少しの違いが目立ってしまうこともあります。Aさんも学校でからかわれることがあり、そのたびにつらい思いをしていました。

自然に理解してくれた友人

そんなAさんには、小学5年生のときに出会った大切な友人B子さんがいました。

Aさんがチック症について説明すると、B子さんは特別な反応をすることなく、「そうなんだ」と自然に受け止めてくれました。かわいそうだと同情するわけでもなく、変な目で見るわけでもない。ただ理解しようとしてくれた。その姿勢がAさんにとって大きな救いになりました。

「説明したら嫌われるかもしれない」という不安を抱えていたAさんにとって、自分をそのまま受け入れてくれる存在は何より心強いものでした。

そして、B子さんを中心にAさんを理解してくれる友達が増えていきました。

さりげない優しさに支えられて

ある日、B子さんの家で遊んでいたときのこと。チックが出ていたAさんの様子を見て、B子さんのお母さんが声をかけました。

するとB子さんは、「これ、気にしちゃうと余計に出ちゃうから言わないであげて」と母親に伝え、「こういうときは遊びを変えた方がいいから外で遊んでくるね」と自然にその場を離れてくれました。

学校でからかわれたときも、B子さんはAさんの味方でいてくれました。特別なことをしたわけではありません。ただAさんが安心して過ごせるよう、さりげなく気遣ってくれていたのです。

だからこそ、Aさんにとってその優しさは今でも忘れられない思い出として心に残っています。

大人になってわかったこと

大人になるにつれ、Aさんの症状は自然と落ち着いていきました。しかし今でも、B子さんへの感謝の気持ちは変わっていません。

なぜなら、B子さんがくれたのは助けや同情ではなく、「そのままのあなたでいていいよ」という安心感だったからです。

人はつい気になることを指摘したり、直してあげようとしたりしがちです。でも、人を支えるというのは、必ずしも何かを変えてあげることではないのかもしれません。

相手を理解しようとすること。必要以上に特別扱いせず、でも困っているときにはそっと寄り添うこと。友人がAさんに対し見せてくれた姿勢は、子ども同士の関わりを超えて、私たち大人にも大切なことを教えてくれています。

誰にでも、人には見えない悩みや苦手なことがあります。だからこそ、「そのままで大丈夫だよ」と伝わるような関わり方を、私たちも心がけていきたいものですね。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:安藤こげ茶
自身も離婚を経験しており、夫婦トラブルなどのネタは豊富。3児のママとして、子育てに奮闘しながらもネタ探しのためにインタビューをする日々。元銀行員の経験を活かして、金融記事を執筆することも。

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