今回は、筆者の友人の体験談をお届けします。

ドア付近から動かない女子高校生
通勤で利用している電車に、時々気になる女子高校生がいました。
彼女はいつもドア付近に陣取り、混雑して人が乗ってきても奥へ詰めようしないのです。
その姿は、誰かを待っているようにも見えました。
「混んでるんだから中に詰めたらいいのに、どうして頑なに移動しないんだろう?」
通勤ラッシュのイライラも重なり、私は彼女を遠目に見ては、心の中でため息をついていました。
混雑した車内で起きたこと
その朝は偶然、混雑した車内で彼女がすぐ近くにいました。
相変わらずドア付近に立ったままです。
「ちょっとは周りを見たらいいのに……」と苦々しい気持ちになっていると、停車した駅で、小柄な小学生たちが数人乗り込んできました。
もともと満員に近かった車内はさらに混雑し、小さな子どもたちは大人たちに囲まれて身動きが取りづらそうでした。
その時です。
ドア付近に立っていた女子高校生が、さりげなく立ち位置を調整して小さな空間を作り、子どもたちに向かって優しく声をかけました。
「こっちおいで。ここ少し空いてるから」
彼女が動かなかった理由
彼女は、自分と壁とのあいだに小さなスペースを確保しながら、子どもたちをその場所へ誘導しました。
さらに周囲の乗客に押されないよう、自分の体でさりげなくガードしています。
何より驚いたのは、小学生たちが彼女に自然に声をかけていたことです。
「おはよう」「今日も混んでるね」
そんなやり取りに、女子高校生も慣れた様子で笑顔を返していました。
その瞬間、私はようやく気づきました。
彼女がドア付近を動かなかったのは、自分が楽をするためではなかったのです。
きっと毎日同じ電車に乗る中で、小学生たちのことを気にかけていたのでしょう。
私が勝手に「マナーが悪い」と決めつけていた行為は、別の意味を持っていたのかもしれません。
体験者の声
それまで私は、見えている行動だけで彼女を判断していました。
混雑した車内で動かない人、周囲への配慮が足りない人……そんなレッテルを貼っていたのです。
けれどあの日、人の行動には外から見えない理由があることもあるのだと気づきました。
今は、「もしかしたら何か事情があるのかもしれない」と想像してみるようにしています。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。


