
兄ばかりずるい!
子どもの頃、シングルマザーの母に育てられていた私は『兄ばかり優遇されている』と感じていました。
習いごとも進学も兄は思い通りに、何でも希望通りにさせてもらえていたのです。
その一方で、
「女の子なのだからやめなさい」
「諦めて、妹でしょう」
と私は後回しにされることが多かったことを覚えています。
大人になってからも兄優先の母の考えはなかなか変わらず、実家に帰るたびモヤモヤしていた私。
母の日ですら、同じものをあげたはずですが、兄には満面の笑みを向けて全力で喜んでいたのに私には、
「ありがとう」
の一言をさらっと言われただけ。
正直『私は愛されてない』とさえ思っていました……。
母の入院
大人になり、母が体調を崩して入院したとき、なんだかんだと理由をつけて一度もお見舞いに来ない兄。
反対に、甲斐甲斐しくサポートしている自分がどう思われているのか気になり、病室で思いきって聞いてみることにしたのです。
「やっぱり今でもお兄ちゃんのほうが大切?」
「私のことなんてどうでもいいの?」
母の愛
すると驚いた顔をして、
「そんなこと一度も思ったことない!」
と言った母。
聞くと兄が優遇されているように私が感じていた頃、兄はひどいいじめに遭っていたそう。
家で兄は明るく振る舞っていたため、私はまったく知りませんでした。
“今にも壊れそうな兄”を支えることに必死だったという母。
「でもお兄ちゃんのサポートに必死なあまり、あなたをないがしろにしていたかもしれない」
「あなたのことも心から愛しているわ、ごめんなさい」
そう謝罪する姿に、ようやく母の愛を感じられた気がして思わず涙がこぼれました。
親子
親の態度だけを見ていると、兄妹と比べて不公平に感じることもあります。
でも、その裏側には子どもには分かりにくい事情が隠されている可能性もあると気づいた私。
以来、私は“愛され方は1つじゃない”と考えられるように。
親子でも、見えている景色はこんなにも違うのだと思った出来事でした。
【体験者:20代・女性会社員、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。

