子どもの頃の筆者は、弟ばかり褒められているように感じていましたが、大人になって母から聞いたひと言が当時の見え方を少し変えるきっかけになったのです。
画像: 「弟の方が育てやすかったんでしょ?」50代娘の問いに、母は「あなたはね」思わずハッとした

比べる気持ち

弟は勉強が得意で、人に甘えるのも上手なタイプです。
分からないことがあれば素直に聞き、困った時には自然に助けを求めていました。
一方の私は、自分でやろうとすることが多く、思ったことをそのまま口にしてしまう性格でした。

「また弟ばかり」
子どもの頃、私はそんな気持ちを抱くことがよくありました。
母が弟を褒める場面を見るたびに「やっぱり弟の方がかわいいんだろうな」と感じていたのです。

募るモヤモヤ

もちろん母が私だけを厳しく扱っていたわけではありません。
ただ「どうしてこの子は」といった言葉を聞くたびに、子どもの私には、「褒められる弟と叱られる自分」という構図が強く残ったのです。

「弟だったら怒られなかったかもしれない」
そんなふうに考えたことも一度や二度ではありませんでした。
大人になってからも、弟は人との距離の取り方が上手だなと思う場面があり、そのたびに昔の気持ちを少し思い出していたのです。

母の答え

そんなある日、家族で昔話をしていた時のことでした。
ふと子どもの頃の記憶がよみがえり、私は母に聞いてみました。
「弟の方が育てやすかったんじゃない?」
すると母は少し考えた後、こう言ったのです。
「あなたの時は何もかも初めてだったからね」
母は、初めての子育てで何が正解か分からなかったこと、叱り方も接し方も手探りだったことを話してくれました。
そして弟の時には、一度経験した分だけ少し余裕があったのだと言います。
それは私にとって、考えたことのない視点でした。

違う景色

母にとっては、当たり前の話だったのかもしれません。
でも私はその言葉を聞いて初めて、弟ばかり優遇されていたのではなく、母もまた『初めての親』で手探り状態だったのだと気づいたのです。

子どもの頃のモヤモヤが消えたわけではありません。
あの頃、寂しかった気持ちも確かにあったと思います。

親は最初から親だったわけではなく、子どもと一緒に少しずつ親になっていくものなのかもしれません。
そう思えるようになった今、あの頃とは少し違う景色で、当時の出来事を振り返られるようになりました。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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