筆者の友人A子は、定年退職後の父に会いに度々実家を訪ねていましたが、ある日、父から突然「もう無理して来なくていい」と突き放されてしまい──。
画像: 70代父「もう実家には来なくていい」えっ、絶縁宣言? 半年後「実はね」母が明かした『父の本音』に涙

昔から不器用だった父

父は昔から口数の少ない人でした。
褒めるのも苦手。
感謝を伝えるのも苦手。
家族なのに何を考えているのか分からないこともよくありました。
それでもA子は結婚後も月に一度は実家へ顔を出していました。
ある日の帰り際。
父が珍しくA子を呼び止めました。
「お前さ」
何か大事な話でもあるのかと思った次の瞬間。
「もう無理して来なくていいぞ」
そう言ったのです。
A子は耳を疑いました。
「え?」
思わず聞き返します。
しかし父は新聞を見たまま、「子どももいるし忙しいだろ? こっちは大丈夫だから」と言うだけでした。

少しずつ足が遠のく

それからA子は実家へ行く回数が減りました。
父がそう言うなら、その方がいいのかもしれない。
そう思う半面、どこか寂しさもありました。
以前ほど連絡もしなくなりました。
半年後のある日、母から電話がかかってきました。
「今度の日曜日、来られる?」
いつもと違う真剣な声でした。
A子は久しぶりに実家へ向かいました。

母から聞かされた事実

母は少し迷いながら話し始めました。
「実はね、お父さん去年から病院に通ってたの」
A子は驚きました。
初耳でした。
幸い大きな病気ではなかったものの、検査や治療が続いていたそうです。
「お父さんね」
母は続けます。
「もし自分に何かあったら、お前が無理して実家へ通うようになるんじゃないかって心配してたの」
だからこそ、「来なくていい」と言ったのだそうです。

残されていたメモ

さらに母は引き出しから一枚の紙を取り出しました。
そこには父の字でこう書かれていました。
娘には娘の生活がある。俺たちのために時間を使わせたくない。
A子は言葉を失いました。
父は昔からそういう人でした。
心配していても言葉にできない。
大事に思っていても素直に伝えられない。
だから逆のことを言ってしまう。
帰る時。
父は相変わらずぶっきらぼうでした。
玄関で靴を履くA子に向かって言います。
「また時間ある時に来い」
たったそれだけ。
でも今回は分かりました。
あの言葉の意味が。
A子は思わず笑いながら答えました。
「うん、また来るね」
父は照れくさそうに顔を背けていました。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。

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