筆者の友人N奈が思春期の娘との衝突を通して気づいた、自分が親から教わった価値観に疑問を持った経験とは──?
画像: 「私は反抗したいんじゃない! でも」涙を流す娘。叱り続けた40代母がハッとした瞬間

厳しい家庭で育った私

N奈は40代の主婦。「親の言うことは絶対」「反抗するのはわがまま」という考えの厳格な両親のもとで育ちました。それが当たり前と思っていたN奈自身も、親に口答えをした記憶がほとんどありません。

そのため、中学生になった娘のT子を育てる中でも「親の言葉を素直に聞くことが大切」という考えを持っていました。ところが、思春期を迎えたT子との関係に少しずつ変化が訪れたのです。

何を言っても反発される日々

中学生になって以来、T子は自分の意見をはっきり言うようになりました。門限について話せば「みんなもう少し遅いよ!」と、勉強について注意すれば「ちゃんとやるから見張らないで!」と返ってきます。

N奈は娘の言葉を聞くたびに「親に向かってそんな言い方はないでしょ」「言われた通りにすれば間違いないんだから」と叱ることが多く、イライラする場面も増えました。

言い合いのたびに親子げんかへ発展し、家の空気は重くなる一方。無視されることも増え、以前は何でも話してくれた娘が、少しずつ心を閉ざしているのではないかと感じるようになりました。

娘から返ってきた意外な言葉

ある日、進路について話し合っていた時のことでした。N奈は「あなたのためを思って言ってるの。親の言うことを聞いていれば間違いないのよ」とT子に向かって言いました。

するとT子は少し黙った後、「お母さんは私の話を聞いてくれたことある?」と口を開いたのです。その一言に、N奈は思わず言葉を失いました。

さらに「私は反抗したいんじゃないの。自分の考えを聞いてほしいだけ!」「お母さんはいつも正しいことを教えようとするけど、私が何を考えてるかは聞いてくれないよね」と目に涙を浮かべて訴えたのです。

その姿を見た瞬間、N奈はハッとしました。自分が親からされてきたことを、そのまま娘にも繰り返していたのだと気づいたのでした。

正解のない子育てに親も学び続ける

それ以来、N奈はまず娘の話を最後まで聞くことを意識するようになりました。もちろん親として伝えるべきことはあります。しかし、頭ごなしに否定するのではなく「どうしてそう思ったの?」と尋ねるようにしました。すると不思議なことに、T子も以前より素直に相談してくれるように。

先日も学校での悩みを打ち明けてくれた際に「お母さん、前より話しやすくなったね」と一言。T子の顔には笑顔が増え、N奈は少し照れながらも嬉しくなりました。

親だからといって、常に正しいわけではないのです。

子どもを育てているつもりが、実は親のほうが成長させてもらっていることもあります。思春期の我が子との衝突は、親にとっても大切な学びがあると感じさせてくれるエピソードでした。

【体験者:40代・女性主婦、回答時期:2026年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Miwa.S
事務員としてのキャリアを積みながら、ライター活動をスタート。持ち前の聞き上手を活かし、職場の同僚や友人などから、嫁姑・ママ友トラブルなどのリアルなエピソードを多数収集し、その声を中心にコラムを執筆。 新たなスキルを身につけ、読者に共感と気づきを届けたいという思いで、日々精力的に情報を発信している。栄養士の資格を活かして、食に関する記事を執筆することも。

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