筆者は独立した子どもたちそれぞれの近況を他方に伝えるのが親の役目だと思っていましたが、何気ない会話が思わぬすれ違いを生んでいたようで──。
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伝える近況

「長男は元気にしてるよ」
子どもたちが独立してからは、それぞれと会う時間を大切にしていました。
長女と会えば長男の近況を話し、長男と会えば長女の様子を伝える。
離れて暮らしていても家族なのだから、お互いのことを知っていた方が安心できると思っていたのです。
連絡を取り合う機会が減った分、私が橋渡しになれたらいい。
当時の私は、そんな気持ちで何気なく話をしていました。

増える違和感

ところが、いつ頃からか姉弟の関係がぎくしゃくしているように感じ始めました。
以前は笑いながら話していた話題でも、どこかよそよそしい空気が流れるようになっていたのです。
理由は分かりませんでした。
それでも私は変わらず近況を伝えていました。

「長男が朝起きてこなくて困っていてね」
「長女が通院に連れて行くのは大変って言っていてね」
私としては日常の出来事を話しているだけのつもりでした。
家族だからこそ、お互いの様子を知っておいた方が良いと思っていたのです。

気づいた言葉

ある日、その話をした時のことです。
長女は少し考えた後、
「私が言ってあげようか?」
と言いました。
さらに別の日、長男に同じような話をすると、
「そんなに嫌なら姉ちゃんに頼まなければいいのに」
と返ってきたのです。

その瞬間、はっとしました。
私は近況を伝えているだけのつもりでした。
けれど子どもたちには、相手への不満や愚痴として聞こえていたのかもしれません。
実際に見ていない事だからこそ、相手への不満として重く受け取られていた可能性に気づいたのです。

親の役割

一度ぎくしゃくした関係を元に戻すのは簡単ではありません。
だからこそ今は、子どもたちそれぞれの話をする時に、以前より言葉を選ぶようになりました。
私は良かれと思って近況を共有していました。
けれど家族だからといって、何でも伝えれば良いわけではなかったのです。

親の何気ない一言が、子ども同士の関係に影響することもある。
そう気づいてからは、橋渡しをするつもりが距離を生まないよう、少し立ち止まって考えるようになりました。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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