
手抜き料理
共働きの息子夫婦に対して、とにかくいつも忙しそうという印象を抱いていました。
たまの週末に息子に呼ばれて遊びに行った際には、夕飯に冷凍餃子やレトルトカレーが並ぶことが少なくありませんでした。
もともと買ってあったお惣菜を並べるだけのときもあり、栄養が偏らないのか心配で内心モヤモヤしていた私。
『母の味が何かあまり分かっていなさそうで子どもがかわいそう』『30分時間があればちゃんと作れるのに』と思ってしまっていました。
そんな思いがつい口に出て、
「たまには手料理もね」
と嫁に嫌味ったらしく指摘したこともあります。
でも料理のことで口出ししても、
「なかなか時間がなくて~」
と嫁は苦笑いするだけで、そんな煮え切らない態度にまたイラっとしてしまうときがありました。
孫の言葉
でもそんなある日、孫が私にこう話してくれたのです。
「ママのご飯大好きだよ」
「忙しいのに毎日僕が好きなご飯すぐ用意してくれるもん」
「忙しくてもたくさん遊んでくれるの」
その言葉にハッと気づかされました。
私は“どれだけ手間暇かけて作ったか”ばかりを見て、“誰のために準備しているか”、“何に重きを置いて家事の時間配分をしているのか”を見ていなかったのです……。
嫁の時間の使い方
よくよく思い返すと嫁は、仕事から帰宅後に孫の宿題を見て洗濯をして、孫の遊びに付き合いながら翌日の準備まで限りある少ない時間でやってのけていました。
きっと彼女にとっては時間をかけて料理をするよりも、忙しい毎日を送るなかでいかに孫との時間を確保するかの方が大切なのだと気づいたのです。
専業主婦で時間にかなり余裕があった私とは、生活環境がまるで違うことを今更ながら認識し、反省しました。
相手を尊重しよう
今では、遊びに行くときはリクエストを聞いたうえでコロッケや日持ちする煮物などを作って持参するようにしています。
嫁の料理は“手抜き”ではなく“子どもが喜ぶ料理を無理せず出す工夫”だったのだと、ようやく分かった私。
相手の立場に立って物事を考え、尊重することの大切さを学び、反省した出来事となりました。
【体験者:60代・女性専業主婦、回答時期:2026年6月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:一瀬あい
元作家志望の専業ライター。小説を志した際に行った女性への取材と執筆活動に魅せられ、現在は女性の人生訓に繋がる記事執筆を専門にする。特に女同士の友情やトラブル、嫁姑問題に関心があり、そのジャンルを中心にFTNでヒアリングと執筆を行う。

