筆者の話です。
近所の人が実家の畑から野菜を取っていく姿を見て、私は思わず目を疑いました。
「それって勝手に取っていいの?」そう感じた出来事の裏には、意外な関係があって──。

お返しの形

母が向かった先は隣の家庭菜園でした。
私は慌てて後ろ姿を見送りました。
すると、母は慣れた様子で畑に入り、大根を一本抜いて戻ってきたのです。

「それも勝手に取っていいの!?」
内心ドキドキして母を見つめてしまいました。
けれど母は何事もなかったように夕飯の支度を続けます。
やがて食卓に大根のおかずが並びました。
すると母は出来上がった料理を器に入れ、そのまま隣の家へ向かったのです。

「大根もらったけん、おかず持ってきたよ」
そう声をかけると、隣の人は笑いながら、
「ええんよ、取って取って。おかず助かるわ」
と返しました。
驚いていたのは私だけで、近所ではその関係が日常なのだとその時気づいたのです。

見えた関係

私には、近所の人たちが勝手に野菜を取っているように見えていました。
でも、そんなやり取りが自然に続いていたのです。

長い付き合いの中で生まれた信頼関係だったのでしょう。
近所付き合いは面倒なものだと思っていました。
けれど、ただ距離が近いだけではなく、困った時に助け合える関係でもあるのだと知りました。
あの日に見た光景は、地域の中で受け継がれてきた温かなつながりだったのだと思います。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年6月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.