これは、筆者の友人A子から聞いた話です。「手がかからなくて助かった」と言われ続けて育ったA子。しかし大人になって限界を迎え、カウンセリングを受けたことで“我慢していた子ども時代”に気づきます。初めて母に本音を伝えたことで、親子関係と自分自身が少しずつ変わったエピソードです。

カウンセラーの言葉

その後、勧められてカウンセリングを受けた時のこと。
幼少期の話をしたA子に、カウンセラーが静かに言いました。
「手がかからなかったんじゃなくて、手をかけてもらうのを諦めていたのかもしれませんね」
その瞬間、まるで頭を殴られたような気持ちになりました。
A子はずっと、“私は平気な子だった”と思い込んでいました。
でも違ったのです。
本当は甘えたかったし、気づいてほしかった——。
ただ、それを言えなかっただけだったのです。

初めて母に伝えた本音

しばらくして、A子は勇気を出して母に話しました。
「あのね、私、本当はずっと寂しかった」
母は驚いた顔をしました。
「え? だってA子は平気そうだったじゃない」
A子は笑いながら泣いてしまったそうです。
「平気そうにしてただけだよ」
母はしばらく黙ったあと、小さな声で言いました。
「ごめんね。ちゃんと見れてた気になってた」
完璧な謝罪ではなかったかもしれません。
でもA子にとっては、初めて“自分の気持ちが届いた瞬間”でした。
それからA子は、少しずつ変わりました。
無理な時は「無理」と言うこと。
疲れた時は休むこと。
助けてほしい時は、ちゃんと口にすること。
最初は怖い気持ちもありました。
でも、“いい子”をやめても、世界は終わりませんでした。
むしろ、やっと普通に呼吸できるようになった気がしたそうです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:池田みのり
SNS運用代行の職を通じて、常にユーザー目線で物事を考える傍ら、子育て世代に役立つ情報の少なさを痛感。育児と仕事に奮闘するママたちに参考になる情報を発信すべく、自らの経験で得たリアルな悲喜こもごもを伝えたいとライター業をスタート。

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