筆者の話です。重度の知的障害を持つ長男の為に飛び込んだ障害者向けの和太鼓サークル。期待に胸を膨らませながら、足を踏み入れた入会初日、代表者からの予想外の一言に、私は戸惑いを隠せませんでした。それでも通い続けると決めた理由とは……?

練習初日

入会早々の公演参加決定で、長男の活躍への期待を胸に迎えた練習初日。

練習の開始前に代表の女性が全員を前に集め、こう言い放ちました。

「入ったばかりの人の写真までチラシに載せたせいで、印刷が遅れて困ったわ!」

私は絶句しました。

「公演に出て欲しい」と言われてOKしただけなのに、まるで私たちが迷惑を掛けたかの様な言い方です。

障害のある人達が集まるサークルでの入会初日に、代表者からそんな言葉を受けるとは思っておらず、大きなショックを受けました。

通い続ける事にした理由

モヤモヤした気持ちを抱えつつも、長男の様子を見る事にしました。

長男は、初めての練習なのにニコニコして本当に嬉しそうです。

身体をくねらせ、リズムを楽しむ様子が溢れ出ています。

私は、代表の女性の言葉が気になり、同じ事業所のママさんに事情を聞いてみる事にしました。

すると、「公演が近い時期に写真がまとまっていなかったり、長くいるメンバーさんも公演の参加予定を出してくれなかったりしてたのよ。そのイライラで、あなた達のせいではないから、気にしないでね」と言われて、少しホッとしました。

もう一人の代表の男性は、朗らかなお顔が印象的な人でした。

終始笑顔で長男に優しく声を掛けてくれて、長男もその方には安心した様子を見せており、「この人がいるなら大丈夫」と思えたので通い続ける事を決めました。

障害があるからこそ「安心して参加できる」という空気が何より大切ではないかと思います。

そうした理念を掲げている団体にも、攻撃的な言い方をする人はいるものだと改めて実感しました。

それでも、一人ひとりをよく見て、信頼できる人を見極めながら関わり続けることが、障害のある人と社会を繋ぐ第一歩になるのではないでしょうか。

長男の喜びに溢れた笑顔が、また次の練習も一緒に参加しようという気持ちにさせてくれたのでした。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。

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