離婚した年の母の日、母から「ハサミが欲しい」と言われました。
その裏に隠された、親心という名の優しい嘘に気づいて……。筆者の体験談をご紹介します。

戻った日

翌年の母の日。
「今年はこれが欲しいかな」
母はまた、以前と同じように少し値の張るものをリクエストしてきました。

あまりに自然な流れで、いつものやり取りに戻ったように感じます。
その明るい声を聞いた瞬間、一年前の「はさみ」の記憶が鮮やかによみがえりました。

なぜあの年だけ、あんなに実用的で控えめなものだったのか。
考えてみると、あの時の「はさみ」の意味が、はっきりとつながったのです。

気づいた意味

「離婚して大変な今のあの子に、無理をさせてはいけない」
母はきっと、私に負担をかけないように、あえて手頃なものを選んでくれていたのだと思います。何も言わずに、さりげなく。

翌年、いつも通りのわがままを言ってくれたのは「もう、今のあなたなら大丈夫」という母なりの合格サインだったのかもしれません。

あれ以来、母が使っているハサミを見るたびに、言葉にはならない深い気遣いを感じるのです。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年5月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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