子どもの頃から、母は私のやることにあまり口を出さない人でした。当時は「もっと言ってほしい」と物足りなさやモヤモヤを感じたこともあります。けれど大人になり、自分が親になった今、あの沈黙の裏にあった母の深い愛情に気づかされた出来事があります。

母がぽつりと漏らした“あの日の本音”

私が大人になって海外留学を決めた時も、母は反対もせず何も言いませんでした。私はてっきり、またいつものように黙って受け止めてくれているのだと思っていました。

ところが数年後、何気なく留学のニュースを見ていた時、母がぽつりと「今、留学したいと言われたら反対していたわ」と口にしたのです。

そのひと言で、おおらかな母にも、時には「反対したい」と思う気持ちがあったのだと、この時初めて理解しました。あの時もきっと、ちゃんと考えたうえで、それでも私の気持ちを尊重して黙って見守ってくれていたのだと思います。

親になってわかった“黙って見守る強さ”

親になった今、子どもの進路や選択を前に、黙って見守ることがどれほど難しいかを痛感します。

あの頃は少し無関心にも見えた母の沈黙が、今では私を信じて送り出してくれた深い愛情だったのだと、大人になってようやく気づきました。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2026年4月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:森奈津子
海外生活や離婚、社会人での大学再入学など、多彩な経歴を持つライター。現在は幼稚園教諭として保護者の悩みに寄り添うほか、日々の人付き合いの中から生まれるリアルな本音に耳を傾け、多様な価値観に触れてきた独自の視点でそれらを記事にしている。

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