翌週の夕方、私はモニターの前に椅子を置き、本を読みながら待機しました。
「ピンポーン」
モニターには誰も映っていません。
私はすぐには動かずにドアを開けるタイミングをずらしました。子
ども達がピンポンダッシュの成功を喜び、笑いながら階段へ向かいかけた瞬間を見計らい、私はドアを開けました。
解決
「あら、ちょうどよかった」
廊下でピタッと固まる3人の小学生。
私は落ち着いた声で静かに言いました。
「毎日この時間に入ってくるの、気づいてるよ。インターホンを鳴らして走っていくのも全部わかってるんだ」
事実を淡々と伝えられたことで、子どもたちに「逃げられない」という緊張感が走ります。
「やばい……」という声が漏れてきます。
「またイタズラでインターフォンを鳴らしたら、次は管理会社に相談しようと思っています。そうすると君達のお父さんとお母さんも呼ばれることになるんだけど、いいかな?」
3人は顔を見合わせ、そろって「すみませんでした」と頭を下げました。
「わかってくれればいいよ。気をつけて帰ってね」とだけ言って、ドアを閉めました。
それ以来、ピンポンダッシュはピタリと止まりました。
向かいの男の子とは、たまに廊下で顔を合わせることがあります。
最初は目をそらしていましたが、最近は「こんにちは」ときちんと挨拶もするようになり、私もにこやかに返しています。
集合住宅での近隣トラブルは、誰にでも起こり得ます。そんな時は感情的にならずに冷静に対応することが、お互いにとって最善の解決に繋がるのだと教えてくれました。
【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。
