筆者の話です。
保育園の帰り道、大きな箱をひとりで運んだ記憶があります。
何気ない出来事だと思っていたその日が、後になって違う意味を持ち始めて──。
画像: ftnews.jp
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持ち帰る

「大丈夫、持って帰ります」
保育園の年長のとき、先生に呼び止められ「お母さんに取りに来てもらってね」と見せられたのは、ランドセルの箱でした。
保育園からあっせんチラシをもらっていたランドセル。
保育園経由で購入したのは、どうやら私だけだったようです。
当時の私は体が大きい方で、自分で運べると思い、そのまま持ち帰ることにしました。

箱についていた取っ手をぎゅっと握って持ち上げると、思ったよりもずっしりと重さが伝わってきました。
それでも、そのときは「早く開けてみたい」という気持ちの方が強く、誰かに頼るという考えは浮かびませんでした。

重い帰り道

箱は大きく、両腕で持っていても足に当たり、歩くのを遮りました。
歩き出してすぐに腕が疲れてきて、途中で何度も立ち止まることになります。
アスファルトの上にそっと箱を置き、息を整えてからまた持ち上げる。その繰り返しでした。

普段ならあっという間に着く道のりが、その日はとても長く感じられます。
箱の取っ手もどんどん破れてきて、途中からは、底を支えるようにして抱え直す。
道端の塀に寄りかかるようにして休んだり、持ち方を変えてみたりしながら、少しずつ前へ進みました。
ようやく家にたどり着いたときの達成感は、今でもはっきり覚えています。

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