夫の母が他界し、ふと思い出したのは帰省のたびに私の席に置かれていた煮物のことでした。もっと詳しく作り方を教わればよかったと悔やむ中で、今になって気づいたものがあります。今回は、義母の一皿から私が受け取っていた“本当の贈りもの”についてのお話です。
画像: 義母は“本当のレシピ”は教えてくれなかった。でも、最後に遺してくれた『大切なもの』にホロリ

煮物が大好きだった私

夫の母が、先日他界しました。

元気だった頃の義母は、とても料理上手。台所に立つと手早く調理し、いつの間にか何品も並んでいるのです。義実家に帰ると、私は食事の時間が楽しみでした。

特に好きだったのが、煮物です。ほくほくの野菜にじんわりと味が染みていて、真っ先に箸が伸びる一皿でした。

「どうやって作るんですか?」そう聞くと、笑って言いました。

「簡単だよ。このお出汁と醤油とみりんで煮ただけ」

拍子抜けするほど短い答えです。

聞けなかった“本当の作り方”

自宅で作ってみると、確かに似た味にはなります。でも、どこか違う。

もう少し詳しく聞こうかと思いながら、忙しい義母に何度も尋ねるのは気が引けて、そのままになっていました。

帰省するたび、私の席の前にはその煮物が用意されていました。とてもさりげなく、そっと置かれています。そのたびに、迷わず煮物をいただきました。

ああ、覚えてくれている。それが、ただうれしかったのです。

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