春はどこへ行っても「卒業」や「入学」の話題であふれます。街もどこかそわそわとした空気に包まれる季節。けれど、その輪の外にいるように感じる人も、きっと少なくないはずです。今回は筆者の知人の体験談をお届けします。

育てた覚えはなくても

「仕事に妥協せず、後輩を支えてくれる先輩の背中に、いつも憧れていました。社会人の私を育ててくれたのは先輩です」

結びにそう書かれた手紙を読み終えたとき、気づけば視界が滲んでいました。

私は子どもを産んでもいないし育ててもいない。
けれど、日々の仕事を通して、誰かの挑戦を支え、迷いに寄り添い、大切な何かを繋いできた。

その事実に気づいた瞬間、胸が熱くなりました。

子育てではなくても、次世代へ繋ぐということ

自分では必死だっただけの時間が、ちゃんと誰かの血肉になり、その人の未来を支える力になっていると知った瞬間、心の奥にあった小さな疎外感が、すっと溶けていきました。

家庭という形だけが、次世代を育てる場所ではないのかもしれない。
職場もまた、人が育ち、巣立っていく場所のひとつ。

形は違えど、この春、私もひとつの「卒業」を支えることができたのだと思っています。
卒業シーズンは、誰かを送り出すだけでなく、自分自身がこれまでしてきたことの価値に気づく季節でもあるのかもしれませんね。

【体験者:40代・女性会社員、回答時期:2026年1月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.