息子が野球を始めて以来、わが家は野球一色。週末ごとの弁当作りと送迎で、てんてこ舞いです。そんな親の苦労も知らず、「試合なんだからもっと早く起こして」「お弁当多すぎ」と文句を言う息子。しかしある日、「野球をやりたくても続けられない」仲間の退団をきっかけに、息子は感謝の言葉を口にして……。友人が、体験談を語ってくれました。

息子の友人が直面した「送迎不可」という壁

そんなある日、チームメイトのA君が突然退団することになりました。

A君は初心者だった息子にキャッチボールを教えてくれた、大切な仲間です。

理由は「お母さんがしていた野球の送迎ができなくなったから」。

同居のおばあちゃんの介護とご両親の仕事が重なり、物理的に通うことができなくなったのです。

「野球をやりたい」という本人の情熱だけでは、どうにもならない現実がある。息子はそのとき初めて、その事実に直面したようでした。

親の説教より響いた、仲間の涙

A君と野球ができる最後の日。

A君と別れを惜しんだ息子は、帰りの車内で静かに私に言いました。

「お母さん、いつも送ってくれてありがとね」

私が驚くと、「俺、野球続けたいから。新しいバットも今はいい。今のやつで、もっと練習する」

その日以来、息子の態度は一変しました。

自分がグラウンドに立てるのは、親の送迎があり、監督の指導があり、場所を確保してくれるコーチがいて、仲間がいるからだと気づいたのです。

私の小言よりも、仲間の存在が教えてくれた「感謝」の重み。

少し寂しいけれど、息子にとって大きな成長をくれた出来事でした。

【体験者:30代・女性パート、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。

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