親に叱られた記憶は、成長とともに少しずつ薄れていくもの。けれど、中には印象に残って一生忘れられない記憶もありますよね。大人になって初めて親の気持ちが分かったという方もいるのではないでしょうか。今回は、筆者の友人の体験談をご紹介します。

心のあり方を問われた瞬間

しかし家主の方は、一部始終を見ていました。
そして、その日の夜、我が家に電話をかけてきたのです。

父は静かに電話を終えると、私を呼びました。
父のことだから、どうせ「随分おてんばしたなぁ。謝って、弁償しなきゃな」と苦笑いで済ませてくれると思っていたのですが……

父の瞳には見たこともない怒りと、深い悲しみが宿っていました。

「お前は自分の失敗を人のせいにして、一生付き合っていく『自分自身』を裏切るのか?」

父は私の肩を強く掴んで、強い口調で言いました。

父が許せなかったのは、植木鉢を割ったことでも嘘そのものでもなく、保身のために大切な友人を裏切り、自分の心を汚したことに対してでした。

父が本当に守りたかったもの

父はすぐに私を連れて、サキちゃんの家と家主の方へ謝罪に行きました。

幸いどちらも許してくれましたが、帰り道の父の沈黙が重かったのは、今でも忘れられません。

あれから20年以上がたちました。
大人になり社会に出ると、ずる賢く立ち回れば得をする場面に何度も遭遇します。
ミスを誰かになすりつけたくなる時も、実はありました。

しかし、そういう時には、決まってあの夜の父の怒りが蘇るのです。

大切なのは実績よりも、「自分に恥じない生き方をしているか」という自尊心。
父が守りたかったのは私の魂のプライドだったのだと、30代になってようやく理解できるようになりました。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

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