筆者の友人・F恵が住んでいるのは郊外にある100世帯ほどのマンションです。ここは比較的子どものいる家庭が多いマンションでした。そんなF恵のマンションには虐待が疑われている子がいて……F恵のエピソードをご紹介します。

実態の確認へ

Kちゃんのお母さん曰く「あまりに心配だから、一度お家を訪ねて、ご家族と話してみる。学校の行事や自治会のイベントでもお見かけしたことがないから、どんな状況か分からなくて」意を決した様子でした。

後日、Kちゃんのお母さんがいきなり訪ねてきて「ちょっと相談に乗って」と言われました。
例の男の子の家に行ったところ、母親はおらず、父親と2人暮らしであることがわかったそうです。
玄関から見えた家の中は生活環境が整っているとは言い難い状態で、父親も「お金は渡してる。自分は仕事で忙しいし、頼める親戚もいない。一人で大丈夫だと言ってるから構わないでくれ」と言い、追い返されてしまったとか。

その男の子は小学校3年生。
まだ大人のサポートが必要な年齢なのに、一人で食事などを賄うのは限界があるのではないか、とKちゃんのお母さんは強い危機感を抱いていました。
Kちゃんのお母さんと相談し、私たちで抱え込める問題ではないと判断し、まずは学校へ報告することになりました。

反省とこれから

最終的に、男の子は保護され児童相談所へ。
父親が置いていったお金は手付かずのままで、男の子は満足に食事も摂れていなかったことが分かったそうです。

私は自分のマンション内で起きていた事実に胸が締め付けられる思いでした。
大きな事件になる前に、Kちゃんのお母さんの勇気ある行動や学校関係者が動いてくれたことで、最悪の事態は免れましたが、「何かおかしい」というサインを見過ごしてはいけないと痛感しました。「プライバシーだから」と目を背けるのではなく、地域の大人として、子どもたちの発する小さなSOSに敏感でありたい。自分ももう少し隣人に関心を持ち、見守りの輪に加わらなければならないと深く反省した出来事でした。

【体験者:40代女性・パート、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:RIE.K
国文学科を卒業しOLをしていたが、自営業の父親の病気をきっかけにトラック運転手に転職。仕事柄、多くの「ちょっと訳あり」な人の人生談に触れる。その後、結婚・出産・離婚。シングルマザーとして子どもを養うために、さまざまなパート・アルバイトの経験あり。多彩な人生経験から、あらゆる土地、職場で経験したビックリ&おもしろエピソードが多くあり、これまでの友人や知人、さらにその知り合いなどの声を集め、コラムにする専業ライターに至る。

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