筆者の体験談です。重度の知的障害を持つ長男のために入会したダンスサークルで動画編集を買って出た私。代表を助けたい一心で次々と作品を完成させていきますが、動画はなかなかアップされず、サムネイルも使われていない。善意が空回りした先に気づいた、本当の「助け合い」とは。

本当の助け合いとは

後日、サークルのレッスンに行った時、代表と少し話す機会がありました。

「あの……、動画のこと、何か問題ありましたか?」

私が恐る恐る聞くと、代表は少し困ったような顔をしました。

「いえ、いつもありがとうございます。実は、YouTubeのアップ、私のペースでやらせてもらっているので、あまり頻繁にアップするのが大変で。それに、チャンネルの統一感も考えたいので、サムネイルも自分で作りたいなと思っています」

その言葉に、私はハッとしました。

「すみません、余計なことしちゃいましたね」
「いえいえ、そんなことないです。本当に助かってます。ただ、私のペースもあるので」

代表は優しく言ってくれましたが、私は顔が熱くなりました。

帰り道、私は自分の行動を振り返ってみました。

代表が「時間がなくて大変」と言っていたのは確かですが、それは「全部を任せたい」という意味ではなかったのかもしれません。

私は「動画編集できます」と名乗りを上げた時、代表がどんな形で協力してほしいのか、ちゃんと聞いていませんでした。

「完成品を渡せば喜ばれる」というのは私の思い込みで、サークルのカラーを決めるサムネイル作成などは、代表が大切にしたい「こだわり」の部分だったのです。

一応、代表の意見を汲んだつもりでしたが、それは本当に「汲んで」いたのではなく、代表の意向を確認せずに、一方的に自分の「正解」を押し付けていただけでした。

善意は大切ですが、それが独りよがりになってはいけません。

相手の意向を聞き、相手のペースを尊重すること。

それが、本当の「助け合い」なんだとわかりました。

一方的に動画を作り続けてしまったことは、浅はかな行為でしたが、その失敗から学べて良かったと思います。これからは、まずは「どう手伝えば一番助かるか」を問いかけることから始めようと思います。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:藍沢佑菜
管理栄養士の資格を持つ、2人の自閉症男子のママ。自身の育児環境の変化をきっかけに、ライター活動をスタート。食と健康を軸に、ライフスタイル全般のコラムを得意とし、実体験に基づいたリアルな記事を執筆中。専門的な情報を「わかりやすく、すぐに日常に取り入れられる形」で伝えることが信条。読者の「知りたい」に寄り添い、暮らしを整えるヒントを発信しつづけている。

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