筆者の話です。
初めて東京駅で友人と待ち合わせた日、私は【中央口】の看板だけを頼りに動いていました。
けれど、そこから思わぬ行き違いが生まれて──

違和感の積み重ね

ところが、いくら待っても友人の姿は見えません。
行き交う人を何度も確認しても、それらしい気配はなく、胸の奥で小さな不安が膨らんでいきます。
何度も【中央口】と書かれている看板を確認し「間違っていないはず」と自分を鼓舞。

当時はスマホも普及しておらず、連絡手段も限られていました。
ただ看板を頼りに立ち尽くすほかなく、落ち着かない時間だけがじわじわと過ぎていったのです。

友人の一言

約束の時間から20分以上たって、ようやく合流できた友人は開口一番「何でこんな小さな改札で待ってるの!?」と苦笑い。
【中央口】と書かれた看板を指さす私に「普通、中央口ってもっと大きいでしょ!」と呆れ顔で言いました。

実は東京駅には「似た名前の改札」が複数あり、私がいたのは小さくて目立たない入口。
友人が待っていた「本来の中央口」は、人が波のように行き交い、改札機がずらりと並ぶ大きな場所だったそうです。
「そんなの知らないよ……」と思いながらも、都会の駅の複雑さに圧倒されるばかりでした。

違いを知った日

地方では一つの改札しかない駅も多く、迷うという発想すらありませんでした。
けれど東京駅では、同じ名前の出口が複数あることすら珍しくないと知り、胸の奥で静かに「世界の違い」を受け止めたのです。

今では笑い話になったものの、当時は必死でした。
都会と地方の感覚の違いを痛感した、忘れられない東京駅デビューです。

【体験者:50代女性・筆者、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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