これは筆者自身の体験です。児童館で息子が思わぬ行動をし、周りの子どもたちと一悶着が起きてしまいました。初めての子育て経験に戸惑いながらも、周りの大人たちの対応を見て、自分自身の子どもとの接し方を見直すきっかけとなった出来事です。

職員さんの寄り添いと解決

そのとき、名札をつけた職員さんが静かに息子のそばにしゃがみ、優しく話しかけました。「わあ、こんなにたくさん集めたんだ。車が大好きなんだね」息子の気持ちに寄り添う言葉に、泣き声が少しずつ小さくなっていきます。職員さんは、車を一台ずつ手に取りながら、「これ、速そうだね」「この色、かっこいいね」と共感を繰り返し、最後にこう聞きました。

「全部大事だから、全部は貸したくないよね。でも、この中から一つだけ“お友達と一緒に遊ばせてもいい車”を選ぶとしたら、どれにする?」

息子の成長と私の気づき

息子はしばらく車を見つめ、ようやく「これなら……いい」と赤い車を指さしました。職員さんは、「ありがとう!お友達も嬉しいね」と大げさにほめてくれ、男の子も「ありがとう」と笑顔を見せました。周りの空気がふっと和らぎ、ほっとした瞬間でした。

そのとき、私は息子に「貸してあげなさい」と正しさだけを押しつけ、息子の“守りたい気持ち”をしっかり聞いてこなかったことに気づきました。それからは、同じような状況でも、まず「全部大事なんだね」「どれなら一緒に使えるかな?」と、息子に選ぶ権利を与えるように心がけています。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:北田怜子
経理事務・営業事務・百貨店販売などを経て、現在はWEBライターとして活動中。出産をきっかけに「家事や育児と両立しながら、自宅でできる仕事を」と考え、ライターの道へ。自身の経験を活かしながら幅広く情報収集を行い、リアルで共感を呼ぶ記事執筆を心がけている。子育て・恋愛・美容を中心に、女性の毎日に寄り添う記事を多数執筆。複数のメディアや自身のSNSでも積極的に情報を発信している。

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