筆者友人A子の話です。
「危ないからダメ!」とつい先回りしてしまう私と、一見なにもせず「見てるだけ」の夫。子育てスタイルの違いにモヤモヤしていた私ですが、ある日の公園での出来事が、その認識を大きく変えることになります。「守る」ことと「信じる」こと、夫婦だからこそできる役割分担に気づいたエピソードです。

小さな冒険者が教えてくれたこと

息子は最初、手足をどこにかければいいか分からず、何度も滑りそうになっていました。
私はそのたびに息を呑みましたが、夫は黙って見つめています。
しかし、息子は諦めませんでした。
自分で足場を探し、慎重に体重を移動させ、時間をかけて少しずつ頂上へ登っていったのです。
そしてついに登りきった瞬間、息子の顔は見たこともないような誇らしげな笑顔で輝いていました。

「ママ、見て! できたよ!」
夫はニカっと笑って言いました。
「ほら、思ってるより結構いろいろできるよ」
その言葉に、ハッとしました。
自分が「守ること」に必死になるあまり、子どもの「育とうとする力」を信じる視点を忘れていたことに気づかされたのです。

違うからこそ、いいこともある

夫の態度は無関心などではなく、子どもを信頼して「任せる」という彼なりの見守り方だったのです。
もちろん、命に関わるような危険は全力で回避しなければなりません。でも、親が先回りして全ての石を取り除いてしまえば、子どもは転び方すら学べないのかもしれません。
「私は『守る』担当、パパは『挑ませる』担当。私が安心の土台を作り、パパが挑戦の翼を与える。それでいいのかも」
そう思えた瞬間、肩からスッと重荷が降りました。
夫婦のスタイルは違って当たり前。
むしろ違うからこそ、子どもは愛と冒険の両方を通じて、たくましく育っていけるのだろうと感じた出来事でした。

【体験者:30代・筆者、回答時期:2025年8月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。

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