家事・育児・仕事に追われ、心が折れかけていた筆者友人A子。彼女を救ったのは、毎朝顔を合わせるだけの「意外な人物」からの一言でした。その言葉をきっかけに、彼女は「助けを求めることの重要性」と向き合い、夫婦関係を劇的に変えることになります。一人で抱え込みがちな女性たちへ贈る、心の荷下ろしエピソードです。

その瞬間、張り詰めていたA子の糸がプツンと切れました。
誰にも見せないようにしていた「辛さ」を、まさか他人に気づかれるなんて。
不覚にも涙が滲むA子に、彼は優しく言いました。
「助けてって言うのも、大事な仕事のひとつですよ」

「言わなくても分かるはず」を捨てて気づいたこと

その言葉は、A子の胸に深く刺さりました。
家までの帰り道、彼女は自問自答を繰り返します。

「なぜ私は、ここまで追い詰められるまで誰にも言わなかったんだろう?」

思い当たったのは、一番近くにいる夫の存在。
「夫も忙しいから」「言わなくても気づいてほしい」
そんな期待と遠慮で、夫婦のコミュニケーションが滞り、勝手に一人で抱え込み、夫に失望していた自分に気づいたのです。
「助けて」の一言を飲み込んでいたのは、他ならぬ自分自身。
客観的な視点が、A子の凝り固まった思考を解きほぐしてくれたのです。

「助けて」の一言で

その夜、A子は勇気を出して夫に向き合いました。
「実は今朝、すごくしんどかったの。一人じゃ回らない日もあるから、助けてほしい」
初めて弱音を吐いたA子に、夫は驚きつつも、真剣に耳を傾けてくれました。
「ごめん、そこまで追い詰められてるとは思わなかった」
夫は決して協力を拒んでいたわけではなく、単に妻の限界を知らなかっただけだったのです。
あの日以来、A子夫婦の間には「辛い時は辛いと言う」という新しいルールができました。
夫も、それまで気づかなかった妻の状況を理解し、率先してできることを探すようになりました。
崩れそうだった心を支えてくれたのは、第三者からの一言。
でも、その手を取って歩き出したのは、A子自身なのです。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:K.Matsubara
15年間、保育士として200組以上の親子と向き合ってきた経験を持つ専業主婦ライター。日々の連絡帳やお便りを通して培った、情景が浮かぶ文章を得意としている。
子育てや保育の現場で見てきたリアルな声、そして自身や友人知人の経験をもとに、同じように悩んだり感じたりする人々に寄り添う記事を執筆中。ママ友との関係や日々の暮らしに関するテーマも得意。読者に共感と小さなヒントを届けられるよう、心を込めて言葉を紡いでいる。

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