空いているロッカーを自由に使うはずのジムで出会った、歴12年の“常連さん”。強い圧にひるみつつも、少しの言葉選びで空気が一変した筆者のエピソードをお届けします。

詰めよられて返した言葉

反論しようと思えばできる。けれど、じわじわ距離を詰めてくる雰囲気に圧倒されました。

私はここで正論をぶつけて正面衝突するより、場が穏やかになる言葉を選ぶ方が賢明だと判断。

「12年も毎日通われてるんですか!? すごいですね。知らずに使ってすみません」

そう伝えると、彼女の表情がほんの少しゆるみました。

まさかの急転換

「あなた、新しい人?」

「2年目です。でも会費が高いので……やめようか迷ってて」

控えめに話すと、さっきまでの圧がウソのように態度が変わりました。

「あら2年? そんなのまだまだよ。続けなきゃもったいないわよ」

声のトーンまで柔らかくなり、健康のために通っていると楽しそうに話し始めました。
「毎日続けられるなんて、すごいですね」と返すと、彼女は満足げにうなずき、バッグをゴソゴソ。

空気が変わる

「これ、あげる。それと、あなたもそのロッカー使っていいわよ」

飴玉を差し出してくるという予想外の展開。上から目線ではあるのに、どこか憎めない人でした。
さっきのピリついた空気が、ここまで変わるとは思いもしませんでした。

正論より“相手の求める言葉”の方が平和になることもあるようです。おかげでロッカーと飴玉、どちらも無事に(?)手に入りました。

そんな日もあるものだ、と笑ってしまった出来事でした。

【体験者:40代・筆者、回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大空琉菜
受付職を経て、出産を機に「子どもをそばで見守りながら働ける仕事」を模索しライターに転身。 暮らしや思考の整理に関するKindle書籍を4冊出版し、Amazon新着ランキング累計21部門で1位に輝く実績を持つ。 取材や自身の経験をもとに、読者に「自分にもできそう」と前向きになれる記事を執筆。 得意分野は、片づけ、ライフスタイル、子育て、メンタルケアなど。Xでも情報発信中。

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.