高齢の母と出かけるたびに増えていく、“ヒヤリ”の瞬間。検査では認知症ではないと分かったものの、不安や焦りが行動につながるようです。少しでもお互いの負担を減らそうと、小さな工夫を重ねる筆者の体験談です。

不安が強くなるという“加齢のサイン”

その後、母を病院で検査してもらったところ、認知症ではないと言われました。
ただ、高齢になると「待つことが苦痛になる」「一人でいる時間が不安になる」という心理状態が強まり、じっとしているのが難しくなる場合があると聞きました。母の姿を思い返すと、すべてがつながっていくようでした。

そこで、小さな工夫を取り入れることにしました。
・お茶や飴を持たせて待ち時間の苦痛を減らす
・少し離れるときは、「いま列に並んでるよ」「駅に着いたよ」など、メールや電話で具体的に居場所を伝える
・「あと何分で戻るよ」と必ず時間の目安を伝える
ただそれだけで、母の不安も和らぎ、私のイライラも少し減っていきました。

“困った行動”の裏にある、母の気持ち

母の行動を“困ったこと”として捉えていた時期もありましたが、よく考えると、母はただ「一人になるのが不安」なだけで、決して私を困らせようとしているわけではありませんでした。
高齢になるということは、体力だけでなく「心の耐久力」も少しずつ弱くなるということ。
変化に寄り添うためには、不安を減らす工夫をすれば良いのだと気づきました。
それができたことで、私と母の外出は以前よりずっと穏やかになりました。

【体験者:50代 筆者 回答時期:2025年11月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒヤリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:大下ユウ
歯科衛生士として長年活躍後、一般事務、そして子育てを経て再び歯科衛生士に復帰。その後、自身の経験を活かし、対人関係の仕事とは真逆の在宅ワークであるWebライターに挑戦。現在は、歯科・医療関係、占い、子育て、料理といった幅広いジャンルで、自身の経験や家族・友人へのヒアリングを通して、読者の心に響く記事を執筆中。

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